アンパンマンがお腹をすかしている人に、自分の顔の一部を与える理由から正義を考える
公開日:2016/7/30
いよいよ夏本番。先週から夏休みに入った子どもたちが、宿題や課題図書などで本を読む機会が多くなる時期でもある。そんな子どもたちに、ママたちが読ませたいと思う偉人の伝記が詰まったのが『頭のいい子を育てる 偉人のおはなし ハンディタイプ』(主婦の友社刊)だ。
“偉人の伝記”と言っても、今話題となっている真田幸村といった歴史上の人物だけではなく、現在も活躍している錦織圭選手、羽生結弦選手、イチロー選手、澤穂希といったアスリートたちから、手塚治虫、マイケル・ジャクソン、スティーブ・ジョブズまで、現代の偉人が登場するので子どもたちも興味を持ちやすい。
世界中が注目するスポーツの祭典も間近に迫り、アスリートたちへの注目も集まっている。レスリングの吉田沙保里選手の物語では、世界で最も強い女性として連勝記録への期待を集める彼女でも、小さいときには試合に負けて悔しさでわんわん泣いたというエピソードを紹介。「勝ちつづけることで成長したのではなく、負けて強くなってきた」という彼女が持つ信念を知ることで、子どもたちも彼女を応援したくなるだろう。
例えば、漫画家・やなせたかしさんの物語を通じて、「ほんとうの正義とは何か」を子どもたちに考えさせる。アンパンマンがお腹をすかせた人に顔の一部をさしだすのはなぜか。それは、やなせさんが戦争を経験し、正義と信じていたものが戦後にひっくり返る体験をしたことにある。“正義とは、献身と愛だ”ということを悟り、“目の前で飢えている人がいたら、一片のパンを与える。正義とはかっこいいものでなく、そのために自分も必ず深く傷つくもの”という思いをアンパンマンに込めたのだ。
本書は、シリーズ累計60万部を突破した「頭のいい子を育てるおはなし」シリーズのハンディタイプで、お出かけや旅行にも持ち運びしやすいサイズとなっている。漢字にはすべてルビが振ってあり、1話あたり6ページほどの長さにまとめられているため、小学校低学年がひとりで読むこともでき、夏休みの間に子どもたちが読むにはぴったりの一冊だ。