頭の回転をあげて効率アップ! デキる人になって人生も豊かになる脳トレとは?
公開日:2016/8/16
朝ぎりぎりまで寝て出社する人、ふだん運動不足で座り仕事の人、目先の仕事を優先して雑用や家事をやらない人、仕事が遅い人、集中力が続かない人、頑張っているのに孤立しがちな人、面倒なことをやらない人…。
一見してタイプが異なる人たちの別々の問題のようだが、脳の同じ部分が衰えていたり、誤った使い方をしたりすることが原因かもしれない。
これらの“悩み”について答えているのが、『脳が冴える15の習慣—記憶・集中力・思考力を高める(生活人新書)』(築山 節/日本放送協会出版)。2006年に出版されて以来、今も売れ続けている大ベストセラー本だ。著者の築山 節氏は、これまで数多くの診断治療と研究に携わってきた脳神経外科医である。
10年経ってもまったく古さを感じない。現代人の抱えるさまざまな悩みに処方箋のように刺さり、まるで診断して話しかけるようにわかりやすく書かれているのが今も売れている理由だろう。
「15の習慣」は、すべてをやる必要はなく、それぞれが必要と思ったものを取り入れればいいと説く。仕事や生活の負担にならないよう、できることから。そこでまずは、なかでも基本となり、最も気になった習慣をご紹介したい。
ポイントは前頭葉。脳の回転数をあげれば、物事がスムーズに
ポイントは前頭葉。脳にとって司令塔のような役割を担う。思考を組み立て、選択、判断、系列化といった複雑な処理を行うからだ。ここが衰えていたり、疲れていたりすると、脳の感情系が優位になる。その結果、冷静な判断ができなかったり、面倒なことはしたくないなど意欲が失せたり、流されやすい、もしくは周囲を気遣えない頑固な人になり得る。つまり、ダメ人間かボケた人か頑固者になってしまう恐れがあるのだ。ああ恐ろしい。
逆にここを鍛えていれば、合理的かつクリエイティブな思考が冴え、積極的にいろんなことをこなし、早く、そして効率よく仕事を進められる。そんな理想的な脳を目指すにはどうすればいいのか。
まずは、大前提として生活のリズムを安定させること。これが不安定だと脳は活性化できない。いわば時差ボケのような状態になってしまうのだ。だから、朝は一定の時間に起きる。そして、脳を活発に動かすため、ウォーミングアップをしよう。
朝、脳のウォーミングアップに効果的なのは例えば次のとおり。2つほど実行すれば、頭の回転があがっているのが実感できるはずと築山先生は言う。
・散歩などの軽い運動
・部屋の片付け
・料理
・ガーデニング
・挨拶+一言
・音読(できれば10分以上)
足を動かす機能は脳の頭頂部近くにあるため、散歩をすると血液が脳の高いところまでくみ上げられ、脳全体に血が巡りやすくなるという。部屋の片付け、料理、ガーデニングは、選択、判断、系列化という前頭葉が司る機能を使うのにうってつけ。挨拶や音読は、目や口を動かして、インプットとアウトプットという高度な処理能力が駆使されるからのようだ。
人間の脳はいきなりフル回転ができないが、いったん脳の回転数があがれば、しばらくはその状態が続く(長くても2時間ほど)。そのうちに仕事を片付け、回転数が落ちたら休憩を挟み、またウォーミングアップから始めるというのを繰り返すといい。
「若い時の苦労は買ってでもしろ」は本当。前頭葉の体力がある人、ない人
テキパキと仕事をこなし、たくさん集中できるようにする。つまり、前頭葉をより優れた“司令塔”にするには、その基礎体力によっても差が出るようだ。
「前頭葉の基礎体力は、日常的な雑用を面倒くさがらずに片付けることで鍛えられる」のだとか。仕事をしながら家事や育児も担う人や若い頃に苦労して成功した人は、前頭葉の基礎体力が他の人とは違うレベルだったりするという。
そのため、「若い時の苦労は買ってでもしろ」という諺は、脳科学的観点から見れば「若い時の雑用は買ってでもしろ」とも言い換えられ、膨大にこなすほど、前頭葉の基礎体力がつき、意志的・主体的に行動する力の高い人になれるというわけだ。
毎日自分を小さく律することが、大きな困難にも負けない耐性を育てる
前頭葉の基礎体力をつけ、正しく使うことができれば、仕事が早くなって、プライベートの時間が増え、人生がより豊かになること請け合い。この本を指南書に、まずはできることから始めてみてはいかが。
文=松山ようこ