職場で「効果的な教え方」できてる? 脳科学が明らかにする大人の学習方法

ビジネス

公開日:2016/8/23

 「脳の働きと学習」に関する論文を編纂した『脳科学が明らかにする大人の学習~ニューロサイエンス・オブ・アダルトラーニング』が2016年8月2日(火)に発売された。

 同書で執筆されている論文は、神経生物学者、臨床心理学者、教育者といった専門家によるもの。その中で、脳科学の観点から学習を設計する際に重要となるポイントを数多く紹介している。こうした脳科学の知見を生かし、職場や教育現場の学習プロセスや学習環境をデザインすることで、職場や教育現場での学びをより適切で効果的なものにすることができる。欧米ではすでに「脳科学」の知見を生かした人材育成や教育プログラムの設計、評価プロセスの変革等の取り組みが広がっているため、今後は日本でもそうした取り組みが広がっていくことだろう。

<同書であげられているポイント>(文中より抜粋)

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・恐れや不安が学習を阻害する
私たちは脅威を感じると、心も体も安全を確保するために防衛反応を行うようになっている。私たちの心はその瞬間、脅威に対応するために重要な情報だけに集中している。しかし、学習者が安全を感じると好奇心が沸き上がる。私たちは安全を感じ、自分の周りのことをよく知っていると、新しいものを望むのだ。

・感情を伴った学習経験が記憶の定着を促進する
アドレナリンの効果の1つは、経験の記憶を強化すること。アドレナリンは感動的でポジティブな出来事のときにも放出される。そのため、いかに学習者の感情を動かし、動機づけとなるような興味を喚起するかが重要だ。そのようにつくられた教室のアクティビティは彼らの注意を引きつけ、より鮮明に記憶することになる。

・正解のない問題を解くときには内省と十分な時間を要する
正しい答えを得るときの作業は、言語活動の領野が存在する前頭葉で行われる。それとは対照的に、多面的な観点から問題を検証するには内省が必要となり、それは後頭葉を中心として行われる。また、複雑な神経回路の中で脳が探索・分類・統合作業を行うため、時間が必要なのだ。

※掲載内容は変更になる場合があります。