休み明けや月曜にスッキリ目覚めたいなら、エアコンの○○設定にあり!睡眠専門医が教える快眠の極意
更新日:2016/9/5
寝苦しい夜が続き、疲れが蓄積している人も多くいるのではないだろうか。寝ても疲れが取れないという人に、さっそく今日から実践できる“快眠”の奥義を伝授しよう。教えてくれるのは、医学博士・遠藤拓郎氏。睡眠専門医で「スリープクリニック」を調布・銀座・青山に開設している。前回、睡眠をコントロールする術を紹介したところ好評につき今回は、『6分半で眠れる! 快眠セラピーCDブック ―幸せな人生を実現させる方法』(遠藤拓郎/フォレスト出版)から教えを請うた。
暑い季節、眠りについて考えるとき、欠かせないのが「体温の変化」であると遠藤氏はいう。なぜなら人体は眠りに入るとき、体温が1℃ほど一気に下がるからである。体温が高いところから低いところへ急激に落ちると、人間は眠くなるようにできているのである。つまり「体温を下げれば」眠たくなるのだ。
だが考えてみてほしい、例えばあなたの体重が75kgだとしよう。75kgの肉の塊を室温に放っておいて、わずか1時間ほどで急激に冷やすことができるだろうか? 冷やすべき肉の温度は表面だけではなく、内部まですべてだ。
急速に冷やすには、冷蔵庫なり保冷剤なり、なにかが必要だと気がつくだろう。そう人体には“天然の冷却器官”が備わっているのだ。この冷却器官を働かせることが良い眠りに必要だという。
体温を下げるには手足の温度が大事!
肉の塊を冷やす方法はいくつかある。もしも肉の塊に何本かのホースが通っていたとする。そして、このホースに冷たい水を流したとするとどうなるか……? 人間の体ではこれと同じ原理が働いているという。遠藤氏はこのようにたとえてくれた。
ホースの役割をしているのが血管、水の役割をしているのが血液です。
冷たい血液を流して体温を下げることで、人間は眠りに入っていくのです。…
実はこうした血液の温度を下げる、ラジエーターのような役割をしているのが、「手足」です。
体を循環している血液の温度は高い。しかし、手足は体のほかの部位に比べ、外の空気に触れやすい器官だ。手足の末端に血液が流れることで、血液の温度が下がり、その冷えた血液を循環させることで体温は下がるという。
では、夏のほてった手足を冷やせばすぐ眠れるか? 残念ながらそんなに簡単ではない。
室温は27~29℃、冷やしすぎては眠れない
結論から述べると、体を入眠に誘うには、「手足を冷やしすぎない」ことがポイントである。手足の温度を必要以上に下げると、体が敏感に反応して、逆に体温を上げようと働きだすからだ。
手足を冷やすには、適温がある。
体温より少し低めの、33℃くらいです。
快適に眠るためには、布団内の温度を33℃くらいに保ちましょう。
そのためには、室内の温度を、だいたい27℃~29℃くらいに設定するのがベストです。
室温を保つために、エアコンをつけっぱなしで寝ることもOKだという。
ただ、ここで多くの人がまた疑問に思ったのではないか? 「エアコンはつけて寝ているのになぜ寝られない」と。
それにはちゃんと答えがある。
エアコンをかける時にもう1つ大事なのは、部屋をドライにすることです。実は湿度管理は傾眠に欠かせません。
温度だけではなく、湿度もまた関係してくるのだ。
エアコンの設定は“ドライ”に!
先ほど、手足は血液を冷やすと述べた。つまり手足に熱い血液が流れると汗をかく。この汗が水蒸気になることで皮膚の体温を奪い血液も冷やす。
だが、湿気が多いと汗が水蒸気にならない。気化熱で冷やすことができないのだ。湿気が多いと皮膚の汗がいつまでも乾かず、手足の温度が下がらない。
夏場に限らず湿度の高い梅雨時に眠りづらいのは、このためだ。部屋の湿度をドライに保つことが夏場の快眠に近付くことである。
だがこれはあくまで、「暑い」ときの対処法だ。遠藤氏いわく、睡眠の基本は体内時計のリズムにあり。規則正しく寝起きをすることが、睡眠ホルモン「メラトニン」を規則正しく分泌させる。
また逆もしかり。気持ち良く「起きる」ためにも規則正しい生活を心がけることが重要だ。人の体内時計はなぜか25時間(人によっては24時間+α)にセットされている。そのため、週末に寝坊したり、夜更かししたりすると、途端に体内時計が狂い、日曜の夜に寝つけない。もしくは月曜の朝にスッキリと目覚めなくなるからだ。
睡眠の基本は体内時計のルーチン化である。今回の眠りの体温のこと、そして眠りと体内時計のお話。これらは、遠藤氏の著書『6分半で眠れる! 快眠セラピーCDブック ―幸せな人生を実現させる方法』(フォレスト出版)に詳しい。さらなる快眠を追求したいなら、ぜひ手に取ってほしい。聴くだけで眠れる「最後まで聴けない」CD付きで好評発売中だ。
文=武藤徉子
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