「結婚できない」ではなく「結婚しない」。増え続けるソロ活動系男子“ソロ男”たちの5タイプ
公開日:2016/9/13
国立社会保障・人口問題研究所の調べによれば、男性の生涯未婚率(50歳までに一度も結婚をしない人の割合)が直近の2010年で20.14%。2035年には29%となる予測で、増加傾向にあるという。
単純に考えれば、将来的には男性の3人に1人。社会保障の側面からは少子化も問題視されているが、一方で、結婚「できない」のではなく「しない」という選択肢もあるのではないだろうか。
20代~50代の独身男性のうち、一人暮らしで経済的にも自立している。そんな人たちをソロ活動系男子、略して「ソロ男」と定義するのは、書籍『結婚しない男たち 増え続ける未婚男性「ソロ男」のリアル』(荒川和久/ディスカヴァー・トゥエンティワン)である。
マーケティングの視点から、ソロ男たちの実情に迫った本書。かつては「消費は女性が動かす」時代であったが、「いつの間にか、独身男性はもはや少数派の一言では片づけられないボリュームにまで成長している」という。それを裏付けるのが、冒頭の男性の生涯未婚率だ。
では、ソロ男の基準とはどのようなものか。本書で示されるのは、以下のとおりだ。
・基本的には、独身で20代~50代の男性
・親と同居していない一人暮らし(ルームシェアは可)である
・ちゃんと働いていて、親などに金銭的な依存をしていない
・自由・自立・自給の価値観を持っている
さらに、本書の調査によれば、ソロ男は5つのタイプに分類される。
1)社交性ソロ男
異性の目を何よりも意識するのが“社交性ソロ男”である。仲間ともさかんに交流して、ブランド物を身にまとうのが好きで消費傾向も高い。地位や所得の向上にも積極的で、彼女もいて女友達とも遊ぶ。ただし、物事へのこだわりはなく飽きっぽい。主な口癖は「なるほどですね~」「すごいっすね~」「了解です」。
2)ストイックソロ男
ブランド物には目もくれず、身だしなみより自分の趣味嗜好にとにかく時間やお金を費やす。仲間といるより、一人の時間を大切にしたい。こだわりのある分野では負けず嫌いで、誰よりも認められたい。商品のスペックや知識などとにかく何かをとことん語るのが大好きで、全身全霊で突き詰める。主な口癖は「ちなみに」「マジで」「絶対」。
3)ネット弁慶ソロ男
一人でいるのが苦痛で寂しがり屋。週のほとんどを外出して過ごすが、一緒に行くのは男友達や会社の同僚。陰では流行に左右されやすく、周囲の目を常に気にしている。心のなかでは「こんなはずでは……」という意識が高く、どこかで「一発当ててやろう」という意欲も強いが、行動は起こさず「本気出したらスゴい」と感じている。主な口癖は「とはいえ」「でも……」「だろ?」。
4)きっちりソロ男
趣味の合う仲間との交流を大切にする。正確は基本的に真面目で、常識や礼儀もわきまえている。出世欲はなく、周囲の目を気にしつつ自分を変えようとはしない頑固者。こだわりのある物への投資は惜しまず、時には衝動買いや無駄遣いに走る。独身でありながら老後のために生命保険を契約、マンションを購入するなど、じつは結婚への意欲が強い。主な口癖は「要するに」「一応」「だから」。
5)仙人ソロ男
自己顕示欲がなく、出世やお金にも興味はない。孤独が苦にならず、一人の時間というより“一人であること”をこよなく愛している。無理をせず気楽に暮らしたいし、面倒くさいことは嫌い。恋愛にも興味はなく、消費も最低限必要なだけ。趣味があってもお金はかけず、人生を達観している。主な口癖は「すいません」「大丈夫です」「まあ……」。
一点、きっちりソロ男については「結婚“できない”んじゃないの?」とツッコみたくもなるが、とはいえ、彼らの“生態”というのはあくまでもそれぞれの生き方によるものである。
問題の捉え方というのはさまざまで、社会保障の観点からみれば“非”であるように映るが、結婚をあえて「しない」というのも生き方のひとつだ。古くは「男性が家計を支えて、女性が家庭を守る」という価値観もあったが、時代は移り変わる。結婚すると、目に見えない義務や不自由にどうしても悩む瞬間がやってくる。そう考えると、独身者には独身者の、既婚者には既婚者ならではの楽しみ方があるのではないだろうか。
文=カネコシュウヘイ