創価学会や幸福の科学がアフリカで流行のワケ

海外

公開日:2016/9/14


『ルポ アフリカに進出する日本の新宗教』(上野庸平/花伝社)

 仏教や神道の伝統が根付いている一方で、「自分は無宗教」という人も目立つ日本人。特に新興宗教(新宗教)に対しては「何か怪しげなモノ」という印象を持っている人も多いだろう。

 そんな人には『ルポ アフリカに進出する日本の新宗教』(上野庸平/花伝社)の内容は驚きの連続のはず。タイトル通り、アフリカ各国には、幸福の科学や真如苑、崇教真光、創価学会などの日本の新宗教がすでに進出。一定の信者を獲得している。本書ではその浸透具合を、ルポライターの著者が各国の集会にまで潜入してレポートしている。

 たとえば幸福の科学の総裁・大川隆法は、2012年にウガンダ最大の国立スタジアムで講演会を開催。その様子は国営放送でもテレビ中継され、町中の本屋ではダライ・ラマの本と大川隆法の著作が一緒に並んでいるそうだ(しかも大川の本の方が4倍多い)。町中には彼の顔が描かれたラッピングバスまで走っているという。

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 またブルキナファソには創価学会が1980年代末から浸透。その集会では、現地の信者たちが『We will fight for センセイ!(池田先生のために戦うぞ!)』と叫んでいる。そして現地の事務局長は、「池田先生はいろんな国に教えを広めて来ました。しかし、僧侶は富に執着しています」と、創価学会を破門した日蓮正宗への批判まで展開している。

 このような状況に驚いてしまう一方で、アフリカの人たちの多くは、純粋な心で日本の新宗教を信じていることも本書では綴られている(中には目先の現世利益が目的の人もいるようだが)。

 アフリカの人々にとって、新宗教は、平和や愛を説くその教義は素晴らしいものとして目に映る。なお日本では「霊感商法」のイメージが強い団体も、アフリカではそのような行為は行っていないらしく、当然悪い印象は持たれない。また、アフリカには仏教文化の下地もないことから、創価学会のような仏教系の新宗教は「仏教のスタンダード」として受け入れられてもいるようだ。

 アフリカの国々がいまだ発展途上にある点、すべてのものの中に霊魂が宿る……という「アニミズム」的な思考が残っている点などは、新宗教が流行した近現代の日本と重なる点もあって面白い。色眼鏡なしには見られなくなった日本の新宗教を、あらためて見つめなおす意味でも面白い一冊だろう。

文=古澤誠一郎