ただ可愛いだけじゃない! 青春も感じられる、百合マンガデビューにオススメな一冊はこれ!『あの娘にキスと白百合を』
公開日:2016/9/23
女の子同士の特別な友情や感情など、その繊細な関係性を描くジャンル、「百合」。『あの娘にキスと白百合を』(缶乃/KADOKAWA)は、既刊は全巻重版、ドラマCDを既に4枚リリースしており、百合展2016でメインビジュアルを飾った、今最も勢いのある百合界の人気マンガだ(※百合展2016とは、全国のヴィレッジヴァンガードにて開催された「百合」をテーマにした大規模フェアのこと)。そして待望となる第5巻が、紙版電子版ともに9月23日(金)に発売される。
本作の舞台は中高大一貫の女子学園「清蘭学園」。主人公の「白峰あやか」は成績優秀、品行方正な女の子。中学までは勉強もスポーツも一番の優等生だったが、高校に入ってから事態が一変。高校から入学してきた天才・「黒沢ゆりね」にNO.1の座を奪われてしまったのだ。
黒沢ゆりねは授業中に居眠りをしているような、やる気のない女の子だが、天才肌で要領がよく、なんでも完璧にこなしてしまう。そんなゆりねに、あやかは敵対心いっぱい。なんとかして一位の座を取り戻そうとライバル視するが、反対にゆりねはあやかに友情以上の好意を抱く。自分を特別扱いせず、対等に張り合ってくるあやかに、ゆりねは特別な感情を持つようになるのだ。
努力家で負けず嫌いのツンデレあやかと、脱力系天才なのに、大好きなあやかの前では犬っぽいゆりねの、二人のやり取りや関係性がとにかく、かわいい。
また、本作はオムニバスストーリーになっているため、あやかとゆりね以外の様々な女の子カップルが登場する。個人的に好みだったのは陸上部の「王子様」ともてはやされる瀬尾瑞希と、マネージャーの二階堂萌のカップル。瑞希はボーイッシュでかっこいいが、実は気弱な性格。愛らしい外見の萌は、クール系美少女だが、実は熱血。この二人の「見ためのギャップ」と、お互いの足りないところを補い合っているような関係性がたまらなくいい。特に4巻ではこの二人がメインで描かれており、こちらはぜひともチェックしてほしい。
百合マンガというと、ただエロくて、女の子たちがイチャイチャしているストーリーいうイメージがあったが、本作は全く違う。女の子同士が毎話キスをしたり、抱きしめ合ったりというドキドキもありつつ、部活や進路など、学生ならではの葛藤が盛り込まれていたり、青春を感じられたりと、百合好きじゃなくても共感して楽しめる内容になっている。
登場人物の女の子たちが、全員個性的でかわいく、生き生きしているのも魅力の一つだ。そんな女の子たちの秘密の関係をのぞき見ているような感覚を味わえるのだから、人気が出るのも納得の一冊だ。というか、アニメ化しないかなと思ってみたり…。マンガでももちろん、素晴らしくかわいいのだが、カラーになって動き出したらもう悶絶級のかわいさだと思うので(黒のロングスカートが翻るところなんてもう…)、ぜひアニメ化してほしい。
文=雨野裾
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