「セックスよりキスより、経血が見たいんだよ」…変態教師とアレが重たい女の子のラブコメストーリー!!
更新日:2017/4/10
表紙に生理用ナプキンが舞い飛んでいるマンガが未だかつて存在しただろうか? 女子の禁断領域である「生理」と、その生理が大好物・変態保健の先生とのラブコメマンガ『三十路とレディ』(りべるむ/一迅社)は、新たな「愛の形」を確立した異色の変態マンガ(褒め言葉)である。
人よりも重たい生理痛に悩んでいる椿井硝華(つばいしょうか)は、生理が近づくと保健室で休む日々。その保健室の先生である喜多川は、三十路の自他共に認めるイケメン。硝華と喜多川は秘密の恋人同士だが、喜多川は「女の子の生理が大好きな真性の変態」なのだ。
硝華のことをレディと呼び、性癖を隠すことなく愛するが、その変態過ぎる行動に硝華も読者も(作者も?)若干、引き気味。それでも「顔がかっこいい」というだけで全てを許され、硝華も喜多川のことが大好き。硝華は喜多川に嫌われたくなくて、生理中にパンツを脱がされたり、経血を舐められたり、血で汚したシーツを見られたりと、普通なら恥ずかし過ぎて倒れてしまうようなことをされても許してしまう。
教師と高校生というだけでも禁断さ100%なのに、その教師が「経血」や「生理で情緒不安定になっている女の子が大好き」という性癖を持っているなんて、禁断どころじゃなく、「ヤバイ」と思う。この教師がイケメンでなければ、警察に通報されてこの物語はすぐに終了してしまうだろう。
生理ネタは、人によっては「地雷」の領域だと思う。さらに生理が好きな男性に好感を持てるか否かも、人それぞれだろう。だが、驚くことに本作は2巻まで発売されているし、なんと、まだ連載中だという。これは多くの読者から「この2人のラブコメをまだ見ていたい!」と思われている証拠なのだ。この人気の秘密は一体どこにあるのだろう? 正直、生理痛が重い側の女子としては(作者はこれだけ生理痛のことを描いていながら、生理痛を経験したことがないのだとか……!)、吐くほど痛い時に、こんな男性に絡まれたらたまったものじゃないと思う。多分、蹴り倒してしまう。それくらい、生理の時、及び生理痛の際には男性を近づけたくないという気持ちになってしまう。(※個人の意見です)。
だが、裏を返せば、生理の周期や生理痛のつらさなどに共感してくれることは、「私の全てを知り尽くしている!」という変化球の感動にもなり得る。その喜多川のストレートではない、癖のある「優しさ」がキュンとくる。「こんな男性、他にはいない! しかもイケメン!!」というところに、恋愛の落とし穴があるのかもしれない。
また、生理ネタを扱っていながらも、女性が不快になるような「エロさ」がなく、喜多川と硝華が時折見せる純情なところ、「お互いのことが本当に好きなんだな」とほっこりしてしまうシーンなどもあり、ただ設定が奇抜なだけの異色マンガではなく、ラブコメとしても楽しめることが本作の魅力だろう。
1巻は生理大好き教師と女子高校生の変態ラブコメマンガだが、2巻で二人は同棲を始める。1巻のような過激なシーンは少なくなり、ギャグ要素が満載の、安心して読めるラブコメになっている。「生理ネタはちょっと」という方でも、怖いもの見たさと笑いを求め、一度手にとってみてはいかがだろうか?
最後に、喜多川先生の変態語録で記事を締めくくりたいと思う。
「股から出る血が好きなんだよ、先生は」
「先生はね、セックスよりキスより、経血が見たいんだよ」
「ナプキンを付け替えずに先生のとこに来てもいいと思ったね」
そんな喜多川先生……ちょっと引くけども、イケメンなので、許す。
文=雨野裾