恋愛偏差値0のマンガ家に“モテ”はやって来るのか!? すべてのモテたい男子に捧ぐ、異性関係向上コメディ漫画
公開日:2016/10/2
男女ともに「生涯未婚率」が上昇している、と言われる昨今。“婚活”をテーマにしたマンガやコミックエッセイも数多く登場し、結婚に悩む人たちの共感を集めている。しかしながら、その主人公たちは女性であることが多い。そこに登場したのが、『いつかモテるかな』(よしたに/集英社)だ。
本作は、『ぼく、オタリーマン。』(KADOKAWA)などで知られる人気マンガ家・よしたにさんが、自身の恋愛・婚活ぶりを赤裸々に描いた作品。これまであまり目にすることがなかった、男性目線でのモテマンガなのである。
本作は、よしたにさんが半生を振り返るところからスタートする。それによると、アプローチができない、連絡先の交換もできない、タメ語すら話せない、せっかく女の子との飲み会をセッティングしてもらってもベロベロに酔っ払い、会話もままならない。そう、よしたにさんは圧倒的に恋愛における経験値が足りていないのだ。そのせいで、気がつけばもう38歳。ここまま一生“おひとりさま”の可能性大である。
そこで手を差し伸べた(?)担当編集者が、よしたにさんがモテるようにと、各方面へ連れ出すことに。コーディネーターのもとでファッションを学び、表情筋トレーナーに笑顔の作り方を指南してもらい、マナー講師からはテーブルマナーについて教えを請う。これらをすんなりマスターすれば、きっと生まれ変われるはず!……だが、さすがに38年間も“非モテ道”を爆進してきたよしたにさんにとって、これまでの価値観をひっくり返すようなことを受け入れるのは容易ではない。
なんせ、おひとりさまでも生きやすい現代は、よしたにさんにとってみれば「俺のために作られた世界」なのである。そんな人間がモテるためにすること。それは、これまでの生きやすい世界(=ダラダラした生活習慣、どうでもいいこだわりなどなど)をぶっ壊す作業に他ならない。
さて、そんな苦行を強いられたよしたにさんが、見事彼女をゲットできたかというと、第1巻の時点では、夢叶わず……という結果に。しかし、服装や笑顔に気を配るようになり、合コンにも積極的に参加するようになったよしたにさんは、モテるかどうかはさておき、確実に人間的魅力が増しているようにも見える。“モテ”を追求するということは、決して浅ましいことではなく、己を磨き続けるという修行にも似た行為なのだ!
本作は現在も連載中。そのタイトルにもある通り、よしたにさん自身が「モテた」時、華々しいラストを迎えるのだろう。とはいえ、読者からすると、永遠と本作を読み続けていたい気もする。よしたにさん、モテてほしいけど、モテないで!
文=五十嵐 大