女性特有の病気の原因に!? 実母の呪縛から逃れられないママたちの“孤育て”

出産・子育て

更新日:2016/10/12

 最近の子育ては「孤育て」と言われたりもしており、気軽に頼ることができる存在がいない家庭が多いように感じます。同じ子育て中のママさんたちと話していると「『実家力』格差を感じる」という意見も少なくありません。実家に頼りたくても、何らかの理由で実母に協力を頼めないというママさんは、意外と多いのかもしれません。

 実母に頼れない理由は、距離的な問題や親の健康状態など、人によって様々です。最近は高齢妊娠が増えていますから、そもそも実母がすでに要介護状態というパターンも増えてしまっています。中には、実母との関係性がよくないから無理、というケースもあります。母親が手を貸そうとしても、本人がそれを拒絶してしまうため、結局「孤育て」にならざるを得なかったり、義理の母親に頼るという場合もあるでしょう。

 子育てのシーンだけではなく、自分の母親との関係がよくないせいで、自分で自分の首を絞めてしまっている方を拝見する機会は、女性医療の現場では珍しくありません。理由の1つには、母親に対する感情のもつれなど母娘関係の問題が女性特有の病気の背後に見てとれるケースがあるからです。10代の月経不順の背景に、母親の関わり方や母親がもたらす「女性像」が原因として存在することもあります。もう1つは、母親から「コミュニケーションの基本」を学ぶため、母親との関係がクリアになっていないと人間関係の問題を抱える可能性があるからです。

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 赤ちゃんの頃の母親の関わり方は、本人にとってのコミュニケーションの基礎を作ります。例えば、泣いたらすぐに「どうしたの? お腹がすいたのかな? オムツが気持ち悪いのかな?」と反応してくれていれば、赤ちゃんは「言えば伝わる」ということを学びます。逆に、泣いていても反応してもらえず放置されてしまうと、「主張しても無駄」ということを学びます。母親の関わり方は、本人にとっての「社会とのつながりの窓口」になるわけです。

 私も、母親から一部「間違ったコミュニケーション」を学んでいました。でも、それらは大人になってから気づいて修正することはいくらでもできます。母親に対する感情のもつれも、きちんと向かい合うことができればクリアにしていくことはできるのです。

 よく、「親になって初めて親の気持ちがわかる」と言いますが、私の場合は自分が娘を産んでみて初めて、「ああ、あの時の母親もこんな気持ちだったのかな」とか、「私には嫌だと感じたことも、実は母親的には良かれと思ってしたことだったんだな」と気づきました。きっと母親なりに、その時できる精一杯のことをしてくれていたんだろうなということに気付くと、たとえそれが間違ったことであったとしても受け入れることができます。

 そうやって母親のことを許して受け入れると、そこで初めて「自分を心底愛する」ということができるようになるのです。母親との関係の悪さを、母親のせいにしていてはいつまでたってもその呪縛から逃れることはできません。「自分で」その関係をどのようにクリアにしていくのか、それが本当の「母親からの自立」になるのだと思います。

文=citrus清水なほみ