スマホ依存を脱するための特効薬とは? 思い切って通知をいっさい絶つ“勇気”も必要!
公開日:2016/10/24
既読スルーやアプリへの重課金など、昨今は何かとスマホで“病む”人たちの話が絶えない。便利なのは重々承知であるが、それにしても、ツールに振り回されて人生を棒に振ってしまっては本末転倒である。
今年5月、ネットの市場調査などを手がけるMMD研究所が発表したデータによれば、15~59歳の男女553人のうち、スマホへ「かなり依存している」と答えたのが18.8%。「やや依存している」の52.6%と合わせると、じつに71.4%もの人たちが“スマホ依存”を自覚しているのだという。
この結果を受けて、日常を振り返ってみると「じつは私も」と実感する人たちも少なくないだろう。そして、スマホへ常にふれているがあまり「夢を追いかけることをしなくなる『無気力人間』が次々と生まれています」と指摘するのは、スマホ依存の仕組みや改善策を提示する書籍『スマホの5分で人生は変わる』(小山竜央/KADOKAWA)である。
ドーパミン出っ放しのスマホ依存はギャンブルより危ない!?
人が何かへ依存する時、脳内では快楽物質であるドーパミンが放出されている。本来、ドーパミンは「やる気や欲望をもたらす物質」であるため日常の行動に必要不可欠なのだが、問題なのは大量に放出されたことで「快楽を感じ昂揚し、その行為を繰り返すことでさらなる刺激を求めて依存化」する状態になるという。
しかし、依存症の代表格ともいえる薬物やギャンブルに比べて、スマホをイジることで得られるドーパミンは「ごくわずかな量」だというのが本書の主張だ。では、何が問題になるかといえば、アクセスのしやすさから「他の娯楽に比べて、非常にドーパミンが溜まりやすい存在」であることだという。
また、動物は「ストレスレベルが下がると単純に快楽を感じる」とする本書だが、同じ刺激ばかりで「変化がない状況が続くと、依存にまでは至らない」という。しかし、昨今は通信環境の向上などにより、様々なコンテンツが最新の状態へ更新されるようになった。そのため、使い続けるうちに“飽きる”ことがなくなり「ドーパミンが出っ放しの状態が続く」というのだ。
スマホを“手放す”という勇気も時には必要
では、どのような方法で依存から抜け出せばよいのか。様々な解決案を提示する本書だが、例えば、レコーディングダイエットのように自分がスマホへ接している時間を“可視化”するというのはひとつの手段である。
試しにアプリストアで「スマホ依存」と打ち込んでみると、昨今は様々な対策アプリが見付かる。他にも「行動管理」「行動記録」などのキーワードを使えば、自分の生活をグラフなどで示してくれる便利なものもある。誰にとっても平等なのは1日24時間と限られた“時間”だ。そのため、「少しでも自分を変えたいと思うならば、自分の行動について把握すべき」と本書は背中を押してくれる。
ただし、この方法だと「結局、スマホ依存から離れられない」という見方もあるだろう。大切なのはツールに振り回されることなく「目的に向かって用途を決めてスマホを使うこと」であるが、単純に手放したいと思うならば手に取るきっかけを思い切って“絶ってみる”のも手だ。
そのために本書が提示するのは、まず「すぐアクセスできないようポケットには入れない」こと。加えて、設定からSNSなどのプッシュ通知を切り「反応しない」環境を作る方法である。仕事や勉強など、目の前のことに集中しなければならない時に届いたメッセージを次々と返していたらキリがなくなる。不安をいったん飲み込んで、無意識に触らない勇気を持つのも必要である。
大切なのはスマホに「使われる」のではなく「使いこなす」コト
最後に、もうひとつ統計を紹介したい。昨年3月、森永乳業が行った調査によれば、20〜50代の仕事を持った女性476人のうち、日頃からストレスを「強く感じている」と答えた人たちが29.0%。「感じている」の42.1%と合わせるとじつに71.1%がストレスを感じていたという。さらに、同調査でのスマートフォン保有率が79.9%で、スマホやSNSにより46.3%の人たちが「自分の時間がなくなっている」と感じていたという。
便利なはずのツールにより、余計なストレスを抱えて大切な時間を犠牲にしてしまってはもったいない。大切なのはスマホに「使われる側」から、スマホを「使いこなす側」になることだと本書はいう。いったん手を休めて、スマホとの付き合い方を見直してみるのも必要だ。
文=カネコシュウヘイ