山崎樹範「家が近所でよかったなって」
更新日:2016/11/11
陣内孝則さんが監督する『幸福のアリバイ』に出演しているやましげさん。出演の決め手となったのは陣内監督の近所に住んでいたからだったという。
「何年か前にお仕事で共演させていただいて、会った日から“今度、メシに行こう”と誘っていただいたんです。それ以降、現場で一緒になったときは“帰り道、一緒だから乗せてってやるよ”と陣内さんの豪華な愛車に乗せてもらって帰っていたんですが、あるとき“今度、オレ映画を撮るんだけど、スケジュール空いてる?”って。もちろんOKしたんですけど、“ずっと一緒に帰ってたからお前のことが浮かんじゃってさー”って(笑)。今回の映画、家が近くなかったら僕、絶対、キャスティングされていないですね!」
『幸福のアリバイ』の脚本は、『桐島、部活やめるってよ』の喜安浩平さん。実はやましげさんと喜安さんは同世代で20代からの仕事仲間だったという。その再会も嬉しかったという。
「喜安くんとは『テニスの王子様』のアニメでずっと一緒だったんです。いつの間にか彼は自分の劇団を持って、脚本家になり、いまや大先生ですけど、今回、一緒にやれて嬉しかったですね。しかも、脚本が面白くて、役者としてプレッシャーを感じました。つまらない脚本を面白くしたら役者の手柄ですけど、面白い脚本をつまらなくしたら役者としてアウトですからね」
映画は冠婚葬祭をテーマに、5つのエピソードで構成されている。やましげさんはその中の2エピソードに出演しているが、演じるのは結果が伴わない万年フリーター男。
「脚本を読んで、これオレのことだと思いました。自分で言うのもなんですけど、女性にだらしないところとか、自堕落な生活をしているところとか(笑)」
ヌードシーンまでありますが、身体を鍛えたりは?
「全然。監督から色気を出して痩せようとするなよと釘をさされていたので、役作りは一切せずに臨みました(笑)。一応、前張りはしてますけどフルヌードですね。一番、難しかったのは股間にパンツが引っかかるっていうシーン。前張りの上にペニスバンドを装着してるんで、けっこう目立つんです。それをカメラワークで隠すのが大変でした(笑)」
本好きとしても知られるやましげさんが今回選んでくれたのは浅田次郎さんの『日輪の遺産』。単純なエンターテインメントだけで終わらないところが魅力なのだとか。
「読む前の印象と、読み終わったあとの印象が変わっているのがいいですね。浅田次郎さんは多作だし、いろいろなジャンルを書かれるし、凄いですよね。『蒼穹の昴』シリーズも大好きで、早く続きがでないか楽しみに待っています」
やましげさんにとって本を読むという行為は?
「息を吸うことに近いです。仕事で人前に出続けていると、息を吐くばっかりになって、苦しくなるんだけど、本を読んでたくさん息を吸うことで落ち着ける。本を読まないと生きてられない気がします」
(取材・文=高畠正人 写真=キムラタカヒロ)
やまざき・しげのり●1974年、東京都生まれ。劇団「カムカムミニキーナ」で俳優デビュー。舞台、映画、テレビドラマ、バラエティなど多方面で活躍中。12月8日から14日までEXシアター六本木にて上演される舞台『剣豪将軍義輝』への出演も決定している。
競馬場で会った老人から手帳を託された丹羽は、福祉ボランティアの海老沢と共に手帳に書かれた内容を調べ始める。そこに記されていたのは終戦直前に帝国陸軍がマッカーサーから奪った時価200兆円の財宝の在処だった。隠蔽はどう行われたのか? 軍人や勤労動員の女性たちも絡んだ人間ドラマが展開される。
映画『幸福のアリバイ 〜Picture〜』
監督/陣内孝則 脚本/喜安浩平 出演/中井貴一、柳葉敏郎、大地康雄、山崎樹範、木南晴夏、浅利陽介、渡辺 大、佐藤二朗、木村多江 他 配給/東映 11月18日(金)全国ロードショー
●男の浮気が原因で別れたカップルが、ある結婚式で偶然の再会を果たす。男は式場にいた美しい女性を賭けて、人気プロ野球選手に野球勝負を挑むが、元カノの目線は冷たく……。他にも人生の節目である「葬式」「見合い」「成人」「誕生」「結婚」をテーマにした5つのヒューマンコメディ。
(c)2016「幸福のアリバイ〜Picture〜」製作委員会