人間関係の「めんどくさい」を解消する画期的な方法とは?

暮らし

公開日:2016/11/7


『図解「めんどくさい」をスッキリ消す技術 仕事、家事、人間関係がすべて楽になる!』(奥田弘美/マキノ出版)

 職場の人間関係や親戚づきあい。たまった洗濯物に食事の準備。それに、メールの返信など。日々の「めんどくさい」を挙げたらキリがないように思える。そんな「めんどくさい」がたまり続けると、「めんどくさいループ」に陥り、人生が楽しくなくなる、と『図解「めんどくさい」をスッキリ消す技術 仕事、家事、人間関係がすべて楽になる!』(奥田弘美/マキノ出版)の著者は警告する。

 精神科医で、産業医として日々多数のメンタルヘルスケアに携わっている著者の奥田弘美氏は、「めんどくさい」と感じる心のしくみを、充電池に例えて「ココロ充電池」からストレスでエネルギーが漏れることだと説明している。決して、気のたるみで「めんどくさい」と思うわけではないというのだ。

 では、「ココロ充電池」のエネルギー漏れを防ぐにはどうしたらよいのか。まず著者は、「めんどくさいこと」を次のように、好き嫌いで3つに分けて対処するように提言する。

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グループ(1)「大嫌いなめんどくさいこと」
(例)人見知りの人の飛び込み営業
(対処法)嫌いなことだと認識する。直接かかわらない。自分でやる場合は、ご褒美を用意して徹底的に簡略化。
グループ(2)「好きでも嫌いでもないめんどくさいこと」
(例)家事、ルーティンの仕事
(対処法)クオリティーは追及せず、手抜きでさっさと片づける。
グループ(3)「好きだけどめんどくさいこと」…
(例)旅行の準備
(対処法)こだわりを存分に追及できるように、時間をたっぷりとる。

 次に、著者は人間関係の「めんどくさい」を解消するために、関係の良し悪しを下記のように4つのマトリックスで考えて、すべての人間関係をグループ(1)にすることを目指し、(2)(3)(4)からはなるべく離れるようにアドバイスしている。

グループ(1)「自分も相手もエネルギーが上がる関係」
(例)ともに資格取得を目指す同僚
グループ(2)「自分のみのエネルギーを奪われる関係」
(例)手柄だけ持っていく上司
グループ(3)「自分のエネルギーは上がり、相手は下がる関係」
(例)愚痴を聞いてもらうだけの友人
グループ(4)「自分も相手もエネルギーが下がる関係」
(例)粗探しばかりの嫁と姑

 ただ、簡単に離れることができない人間関係については、人生という山を登るための「摩擦」だと割り切る方法も紹介しているので、本書でぜひ確認して欲しい。

 一方、「ココロ充電池」にエネルギーをチャージするには、「自分にわがままになる」必要があると奥田氏はいう。そのためには楽しいことや、うれしいことなど「自分がそのときに心からしたいこと」をすることが重要だと説いている。

 人は心のおもむくままに思考し、自由に行動できるときにこそ、最もパワフルになれると、著者はいう。この本のおかげで「めんどくさい」と感じる自分を責めずに、少しでも人生を楽しむ心の余裕が持てるようになれた。途中で、読み進めるのがめんどくさくなっても、イラストでパッと見てわかる便利な一冊でもある。

文=松本敦子