カレーライスとライスカレーの違いは?「豆腐」+「加糖ヨーグルト」の食べ合わせが驚きの○○の味に大変身!
公開日:2016/11/16
「東北、九州、四国には酒豪が多く、近畿に下戸が多いのはなぜか?」、あるいは「カレーライスとライスカレーの違いとは」など、飲食を巡ってはさまざまな謎がある。『なぜ酒豪は北と南に多いのか』 (小林明/日本経済新聞出版社)は、日経記者である著者が、食べ物、飲み物にまつわる素朴な疑問や謎の数々に、真正面からぶつかった一冊だ。また、「世界に広がるカップラーメンの不思議」など、日本食の魅力についても取り上げている。
以前から数々の食材の食べ合わせが、都市伝説のように語られている。例えば、プリンと醤油を一緒に食べるとウニの味、というもの。本書では、その食べ合わせが本当に有効なのかを、食感だけではなく、科学的な検証も同時に進めていく。
検証は大学教授と研究所で行われた。科学的な味覚のバランスとは、甘み・うまみ・コク・苦み・塩味からなり、その5つの割合を五角形にデータ化する。食品本来が持つデータと、意外な食べ合わせで生まれるデータが、近い割合で重なりあえば、科学的にもおいしいと証明されるというわけだ。さて、プリンと醤油の相性は?
“一瞬ウニだが、甘み、うまみ、コクなどが足りない”
“磯の香りはまったくなく、食感が軟らかすぎて、やはり生きのよいウニの味とはかなり違うようだ”
好例は、豆腐と加糖ヨーグルトの食べ合わせ。こちらは、意外なほど美味を感じるそう。科学的にもおいしいと感じる味覚のデータが、ほぼ重なった。その答えは、レアチーズケーキ。変わり種はこれだけにとどまらず、牛乳とたくあんというパターンも。数種に及ぶ食べ合わせの検証は、どれも身近な食材ばかりで、自ら試してみたくなる。
他にも国内のスーパーに買い物にきた客で、1回当たりの飲み物の購入単価が大きいのは、滞在時間が長く、購入額も多い客だろうか。それとも、滞在時間は短く、購入額も少ない客だろうか。また、ここ数年、売り場で食品を選ぶときに 「特濃○○○」 「濃厚××」 などキーワードとして 「濃」 が書かれているパッケージを目にする機会が増えていないだろうか。それはなぜ? そんな謎解きが楽しめる。
また、数々の東西対決も見逃せない。地域で異なる、寿司を表す文字の変遷や、白ねぎと青ねぎ、和風だしのカップ麺の“東西境界線”はどこなのか。その過程で出てくるヒット商品のキャラクター秘話にも、ちょっぴり胸を熱くしたり、うれしくなったり。そしてカップ麺は、東西にとどまらず、ついに海外マーケットへ拡大していくのである。そこには各国仕様の味への研究や努力のエピソードがあった。インドに至っては、カップ麺だけにとどまらず、カレーについても比較や歴史をひもといていく章へと繋がっていく。ちなみに日本のカレーは、インドで 「自分たちのカレーとは違うが、スシに並ぶクールな食べ物」 の和食として受け入れられているそうだ。
日本の食品が現地の嗜好や食文化に溶け込み、海外でも愛されていることを知ると、誇りに思えてくる。謎を解きながら、世界の食文化の旅へと、あなたを誘う。
文=小林みさえ