『ONEPIECE』82巻までの未回収の伏線をまとめてみた(後編)【保存版】

マンガ

更新日:2016/12/22


『ONEPIECE』(尾田栄一郎/集英社)

 本記事は、83巻まで刊行されている『ONEPIECE』(尾田栄一郎/集英社)の未回収の伏線を全てまとめた後編である。前編では「ポーネグリフとワンピース」「世界政府」「ストーリーのカギを握る重要人物たちの行方」という見出しで伏線をまとめてきた。後編では「悪魔の実」「短期集中表紙連載に潜む伏線」「その他、未分類の伏線」について取り上げたい。

悪魔の実

 悪魔の実についても気になる伏線がいくつかある。まず、20巻で初めて出た「物に悪魔の実を食べさせる新技術」である。銃が「イヌイヌの実」を食べて(食べさせられて?)、ダックスフント銃として動いているのだ。この技術を開発したのが政府の天才科学者ベガパンク。人類がこれから500年かけて到達する科学力を彼は有している。さらに彼は、悪魔の実そのものを作っているようだ。失敗作ではあるが、モモの助がそれを口にして龍の能力者になっている。

 また、特殊な能力を秘める悪魔の実も出てきている。この世の全ての悪魔の実の能力者に対して、防御不能の攻撃力を発揮する「ヤミヤミの実」、モノを直す復元能力を持つ「チユチユの実」、人に永遠の命を与える「オペオペの実」などだ。「チユチユの実」と「オペオペの実」が出てきた以上、何を復元し、誰が永遠の命を手に入れるのだろうか。

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 さらに、悪魔の実の能力の「覚醒」についてもふれなくてはいけない。ドフラミンゴがドレスローザの街を糸にしたように、悪魔の実には「覚醒」というワンランク上のステージが存在する。インペルダウンで登場した獄卒獣たちも覚醒した能力者。彼らは強さと同時に、異常なタフさと回復力を売りにしている。動物系の能力者が覚醒すると、化け物クラスのタフさが手に入る。超人系が覚醒すると、悪魔の実が周りの物体にも影響を与える。それでは、自然系が覚醒すると、一体どうなるのだろうか。

短期集中表紙連載に潜む伏線

 ワンピースの扉絵を読み飛ばしてしまう読者はいないだろうか。実は、ワンピースは扉絵も気にかけておかねばならない。この扉絵の中で密かに進行しているストーリーもあるのである。45巻で再登場したコビーも、世界貴族として82巻で再登場したワポルも、その他のキャラたちも、みんな扉絵で密かにストーリーが進行していたのだ。未だ回収されていない扉絵の伏線を簡単に紹介していこう。

 空島編で登場したエネル。ルフィに敗れたが、空を飛ぶ船「マクシム」に乗って、限りない大地である月に上陸。カラクリ島で生まれたカラクリたちと出会い、宇宙海賊を倒す。結果的にエネルは、カラクリ人形の大軍を率いることになった。

 魚人島で色々あった海賊カリブーは、さらに色々あり、海賊スコッチと戦うことに。なんとかスコッチを倒した…と思ったら、最悪の世代の一人、海賊X・ドレークに連れ去られている。カリブーは、神の名を持つ古代兵器「ポセイドン」の秘密を知っている。つまり、X・ドレークも「ポセイドン」の秘密を知る可能性は高いだろう。

 ジンベエも短期集中表紙連載に登場している。この連載でジンベエは、海神ワダツミを従え、さらにポーネグリフも手に入れている。

 「世界の甲板から」シリーズが2度にわたって連載されていたことをご存じだろうか。ここで注目したい扉絵が2つある。まずは「614話 世界の甲板から Vol.2 フーシャ村」。マキノが赤ちゃんを抱いている。つまり、誰かが結婚し、赤ちゃんを産んだということになる。尾田先生は無駄なことをしない人だ。誰の子どもだ? 誰が誰と結婚した? さらに、「838話 世界の甲板から 5億の男編 最終話 ある荒廃した島での結婚式」では、シャンクスが結婚式に参加している。誰の結婚式だ? 物語にどう影響する?

その他、未分類の伏線

 さて、ここまで読んでくださった読者には感謝しかない。読み疲れただろう。しかし、まだ続く。なぜなら、まだ全ての伏線を紹介しきれていないからだ。ここまでくると、尾田先生が悪い気がするぞ。ここからは上記で分類できなかった伏線を紹介していきたい。

 神の名を持つ古代兵器「プルトン」「ポセイドン」「ウラヌス」。82巻の時点では、「プルトン」と「ポセイドン」が話として出てきている。プルトンは世界最悪の戦艦としてウォーターセブンで誕生し、現在はアラバスタに眠っているという。なぜ「プルトン」はウォーターセブンではなく、アラバスタへ移動したのか? 800年前のネフェルタリ家の王がからんでいることは間違いないだろう。もう1つの古代兵器「ポセイドン」。その正体は人魚姫しらほしである。海王類を操る力「ポセイドン」には古くからの言い伝えがあり、「ポセイドン」の力を正しく導く者が現れ、世界に大きな変化が訪れるそうだ。

 魚人島編では、いくつか伏線がはられている。まずは、マダム・シャーリーの「ルフィの手によって魚人島が滅ぼされる」という予言。シャーリーは予言を外したことがない。つまりこの先の展開で、ルフィが魚人島を滅ぼすことになる。また、魚人島に地上の光を伝える「陽樹イブ」の存在も忘れてはいけない。なぜなら、この不思議な樹と関連している「宝樹アダム」の存在があるからだ。戦争を繰り返す島に、ものともせず立ち続ける宝樹アダム。世界にたった数本しかない。この2つの不思議な樹は、物語とどのように関係があるのだろうか。

 「凪の帯(カームベルト)」も気になるところである。カームベルトとは、グランドラインを挟むように存在する無風の海域だ。海王類の巣窟となっており、四皇クラスでもカームベルトを渡るのは難しそうだ。ところが、海軍はこのカームベルトを渡ることができる。海楼石を使うのだ。海楼石とは、海のエネルギーを発する不思議な鉱物。この海楼石を軍艦の船底に敷き詰めることで、カームベルトを渡っても海王類に気づかれないというわけだ。そもそも、海楼石はどこで採れるのだろうか。

 黒ひげティーチには、赤髪のシャンクスと戦った過去がある。その頃からティーチは、シャンクスの顔に傷をつけるほどの実力を有していた。しかし、なぜ戦ったのだろうか。「今はまだいい」という含みを持たせて、黒ひげは強者との戦いを避けてきたはず。また、黒ひげは体の構造が異形で、悪魔の実を2つ食べられる。「能力者狩り」をしているということは、実は3つ以上悪魔の実を食べることができるのだろうか。異形という言葉も気になる。どのように異形なのだろうか。

 60巻にて、エース、サボ、ルフィの3兄弟が、将来の夢を話しているシーンがある。エースは「最高の名声を手に入れる」と宣言。サボは「世界を見て、それを伝える本を書く」こと。そしてルフィは…エースが呆れ、サボが思わず笑ってしまうことを言い放った。どんなことを言ったのだろう。それに関連し、シャンクスがレイリーにルフィのことを話したシーンを思い出してほしい。「ロジャー船長と同じことを言うガキがいたんだ…。船長のあの言葉を…!」。この2つは関連しているのだろうか。さらにもう1つ。ロジャーを思い出すレイリーの回想シーン。ロジャーとレイリーの出会いが短く描かれていた。そこでロジャーは、麦わら帽子を被っているのだ。つまり麦わら帽子は、ロジャー→シャンクス→ルフィへの手に渡ったようである。

 ロジャーとルフィの関連といえば、万物の声を聞く力だろう。ルフィはロジャーと同じように、海王類の声を聞いた。ゾウの声も聞いた。空島の黄金の鐘に彫られた文字から察するに、ロジャーはポーネグリフの古代文字を操ったようだ。万物の声とは一体何か。ルフィは万物から何を聞き取るのだろうか。

 私が探し出した未回収の伏線は、あと4つだ。

・イワンコフが握るクロコダイルの秘密
・最弱の海 イーストブルー
・全ての海域の魚が住む海 オールブルー
・イヌアラシ公爵の言う、ジャック級の海賊が来ても対抗できる奥の手

 これで以上である。見落としがなければ、だが。現在、ビックマムとサンジの過去編がジャンプで繰り広げられていると思われるので、それに関連する伏線は除外した。最後に、記事を書き終えた感想を言いたい。「未回収の伏線全てを記事にまとめる」という無謀さを余すことなく味わった。書いている瞬間から、見落としが心配でしょうがない。ワンピースが好きでなければ、パソコンを叩き割り、82巻全て持って、ワンピースを求めて、編集部の連絡のつかない海外へ逃げていた。読者は今回の記事をどうご覧になるだろう。ワンピースを楽しむ上で、少しでも役に立てればという思いだ。そうでなければ、私は小舟で太平洋へ飛び出すことになる。

文=いのうえゆきひろ