TVでも話題に! 世界のトップ企業、アスリートが実践している「マインドフルネス」って何?
公開日:2016/11/25
先日、テレビで見かけて興味を持った「マインドフルネス」。ざっくり言ってしまうと「瞑想」のようなものなのだが、床にリラックスして座り、呼吸に集中して何も考えないようにするだけで、「あれ?」。ずっと重たかった頭が、少し軽くなったような気がした。たった数分、ただ座って息をしていただけなのに、頭がクリアになっている。
それから、「マインドフルネス」というものに興味を持つようになり、『「今、ここ」に意識を集中する練習 心を強く、やわらかくする「マインドフルネス」入門』(ジャン・チョーズン・ベイズ:著、高橋由紀子:訳、石川善樹:監修/日本実業出版社)を読んでみた。
そもそも「マインドフルネス」は、マサチューセッツ大学医学大学院教授であるジョン・カバット・ジンが、「禅」から思想などの宗教色を分離させ、「マインドフルネス低減法」という研究によるメソッドをベースに考案された、きわめて「科学的」なもの。
私たちは未来や過去のことをあれこれ考えたり、様々なことを想像したり、「思考」や「情報」にばかり脳を使っている。そうではなく、「今、ここ」にいることを「意識」することで、脳の疲労が軽減されるようになるのだ。「マインドフルネス」は意識して「現在」に心を置くテクニックと言っていいだろう。
「マインドフルネス」がもたらす効能は大きい。エネルギーの節約、心を鍛えてやわらかくする、「不安」や「恐れ」を消す、「動じない心」を育む……様々な影響を私たちに与えてくれる。
私は「マインドフルネス」を知る前まで、「あの時、こうしていれば」と過去を後悔し、「同じ失敗はしないように、明日はこうしよう」と未来に追われ、意識が「今」にあることが少なかった。未来のことをあれこれ考えるのは「エネルギーの無駄遣い」で、過去のことを思い悩むのは「不安」を冗長させるだけだったのに。そのため、いつも慢性的に疲れていた。それが「今、ここ」に意識を集中するだけで、その疲労感が軽減されたことには本当に驚いた。
けれど、「今、ここ」に意識を集中するのは、それほど簡単ではない。前述したように、「マインドフルネス」には「テクニック」が必要。じっくりと瞑想に時間をかけられる人はいいが、忙しい現代人にそんな余裕はない。
そこで本書は、忙しい人でも手軽に継続して「今、ここ」を意識できるよう、「これまでに『やっていること』をもとに、視点を変えて注意を向ける」ことでテクニックを培える53のエクササイズを紹介している。つまり、今まで無意識に行っていた「日常的な動作」を「意識」してみる、という練習だ。
私が現在進行形で行っているエクササイズは『「青いもの」に目をとめる』というもの。身の回りにある青色に注目し、「青色探し」をすることで意識を「今」に集中させるのだ。
これは空や絵の具の「青」といった明らかな「青」でなくてもよい。あらゆる色の中に青はあるらしく、全く違った色の中から「青」の気配を感じようとしてみると、浮き立つように青色が見えてくる。
この他には『「足の裏」を意識する』(地面に足が押し付けられている感覚をとらえ、足に伝わる温かさや冷たさを意識する)や『風を感じる』(空気の動きを意識する)、『優しい手で触れる』(すべての物に優しく触れるよう意識すること)など、日常の動作で簡単に変えられることから、エクササイズを実践している。
本書ではこれらのエクササイズを行う理由、もたらす効果も詳細に書かれているので、自分ができそうなもの、興味のあることをできる範囲でやってみるといいと思う。
「今のこのとき」を充分に生きることが、人を幸福に、健康にする。
目まぐるしく過ぎる時間の中に、「マインドフルネス」の考えを取り入れてみてはいかがだろうか? 「合う合わない」はあるかもしれないが、「損」をすることはないと思う。
文=雨野裾