はりねずみのパン、クロック・ケーク…今話題の“魔法のパン”作ってみた!【著者直伝の書籍未掲載レシピあり】
公開日:2016/11/29
普段の食事では味重視で見た目なんて気にしない、という人でも、イベント事や人を招くときくらいはオシャレな料理に、と考えるはず。しかし、張り切ってはみたものの……なんてこともあります。料理の腕を短期間で上げることは難しいのです。
ですが、ちょっとした工夫やアレンジで、難易度を上げずにワンランク上の料理に見せることはできます。それを簡単に叶えてくれるのが、先日発売された『魔法のパン』(八木佳奈/主婦と生活社)。本書は、パンを焼くための本ではありません。市販の普通のパンを、2種類の豪華なパーティーメニューに変えるための本です。
1つは「はりねずみのパン」。格子状に切って具材を挟み込むことでパンにも味が行き渡り、ちぎって食べやすいという画期的な食べ方。そして2つ目は、「クロック・ケーク」という、食パンと具材を重ねてパウンド型に入れた、クロック・ムッシュをケーキ型にしたもの。どちらも、造形センスのない筆者でも作れそうだったので、実際に作ってみました。
1、「モッツアレラ」(P.16~P.17)
まずは、はりねずみのパンの基本となる「モッツアレラ」。バターとにんにくのみじん切りをレンジで加熱し、刻んだパセリを加えたものをブールの切り込みに塗って、モッツアレラを挟みます。あとはアルミホイルで包んで180度に予熱したオーブンで15分焼き、アルミホイルを開いてさらに5分焼けば完成です。
にんにくとバターの染み込んだパンに溶けたモッツアレラが絡んで絶品! ただのせて焼いているのとは違い、パン全体に味が行き渡っていて、最初から最後まで全部美味しく食べられるのも嬉しいポイントです!
2、「ハム、キャベツ、アンチョビ」(P.24)
続いて、華やかな見た目が魅力的な「ハム、キャベツ、アンチョビ」。まず、アンチョビ、にんにく、オリーブオイルでキャベツを炒めます。生クリームと塩こしょうを煮詰めてとろりとさせたものをブールの切り込みに塗り、キャベツ、カマンベール、ハムを挟んだら、あとは上のモッツアレラ同様にオーブンで焼くだけです。
アンチョビの塩気とキャベツ、生クリームの濃厚さが合わさって、とても深い味わいに。キャベツとハムが入ったことで見た目もより華やかになっています。ハムをベーコンやソーセージに変えても美味しそうです。
3、「抹茶、ホワイトチョコ、フランボワーズ」(P.63)
最後は、クロック・ケーク「抹茶、ホワイトチョコ、フランボワーズ」。溶き卵、生クリーム、抹茶、砂糖、お湯を混ぜ合わせ、耳を切り落とした食パンを浸す。パウンド型にパン、ホワイトチョコレート、フランボワーズを層になるように重ね、200度に予熱したオーブンで30分焼きます。あとは粗熱をとり、切って生クリームとお皿に盛り付ければ出来上がりです。
抹茶の苦みとホワイトチョコのねっとりとした甘さ、フランボワーズの酸味は相性抜群! とろけたチョコとしっとりした生地が絡み合い、半熟スイーツのようです。元が食パンとは思えないクオリティです。
そして今回、著者・八木佳奈さんに話を聞くことができたので、作り方のコツやアレンジの仕方について聞いてみました。
――クロック・ケークが少し崩れてしまったのですが、よりキレイに作るコツはありますか?
八木さん:クロック・ケークは、型に食パンを詰めたときに、隙間を埋め、表面が平らになるようにならすのがコツです。隙間があると、具が落ちたり、割れやすくなったりします。はりねずみは、具を切り込みの幅に合わせて、チーズを全体にまんべんなく入れるとキレイに焼けます。
――チーズ選びが重要とありますが、八木さんがよく購入されるおすすめのお店や、選び方のコツ、失敗例を教えてください。
八木さん:ピザ用チーズでも作れますが、塩分が多いので気をつけてください。近ごろはスーパーでも多くの種類のチーズが売っていますので、ぜひお好きなもので作ってみてください。お手頃なチーズでも、仕上がりのクオリティにはあまり関係ありません。
――オーブンがない場合、トースターでも作れますか?
八木さん:作れないことはないですが、パンはトースター庫内の約半分の高さまでしか入れられません。焦げ付き、発火のおそれもあるので、ブールは避けたほうがいいと思います。はりねずみっぽくはならないですが、バケットくらいの高さなら、トースターでも作れると思います。
――特にお気に入りのレシピを教えてください。
八木さん:どちらも、基本は特におすすめです。他だと、はりねずみのパンでは「ソーセージと粒マスタード」です。お酒に合うレシピが多い中で、これは子どもも大好きな味わいです。メープルシロップがポイントなので、ぜひ用意してほしいです! クロック・ケークでは、「キャロットラぺ」がおすすめです!
――この本を、どんな人に手に取ってほしいですか?
八木さん:基本的にパーティーメニューなので、みんなでわいわい美味しいものを食べるのが好きな人には特にチャレンジしてほしいです。女子会や、子どもと一緒に食べても喜ぶと思います。
最後に、本書に載っていない、おすすめの組み合わせを教えてもらったので、こちらも紹介したいと思います。
●里芋と生ハムのクロック・ケーク
冷凍里芋と豆乳で作る、即席和風マッシュポテトがポイントだそうです。生ハムの代わりにベーコンでも作れるとのこと。
〈材料〉
食パン(8枚切り)…4枚
→耳を切り落とし、高さを半分に切る
A|溶き卵…2個分
|豆乳…100ml
|塩・こしょう…各適量
生ハム(薄切り)…6枚(60g)
里芋(冷凍)…100g
万能ねぎ…5~6本
→小口切りにする
B|バター…10g
|豆乳…大さじ2
|塩・こしょう…各適量
ピザ用チーズ…80g
〈下準備〉
・型にオーブンシートを敷く。
・オーブンは200℃に予熱する。
〈作り方〉
1 バットにAを入れて混ぜ合わせ、食パンを並べて入れて浸す。すぐに裏返してそのまま15分ほどおく。
2 耐熱ボウルに里芋を入れてふんわりとラップをかけ、電子レンジで3分ほど加熱する。やわらかくなったらフォークの背などでつぶし、Bを加えてよく混ぜる。
3 型を横長におき、食パン3切れを縦長にして押し込むようにして敷き、ゴムべらなどで平らにならす。
4 2の半量を加えて塗り広げ、生ハムの半量とピザ用チーズ20gの順にのせる。
5 3~4をもう一度くり返す。
6 食パン2切れを横長にのせ、残りのザ用チーズ40gをのせる。
7 型を天板にのせ、予熱したオーブンで30分ほど焼く。
8 型ごと網にのせ、ふくらみが落ち着くまで10分ほどおき、型から出して粗熱をとる。
『魔法のパン』は、他のどのレシピも美味しそうなものばかりです。みんなが集まるイベント事や、友人を招いたときのおもてなしなどに、ぜひ作ってみてください。喜ばれること間違いなしです!
文=月乃雫