「起きる」ことだけに3カ月集中! 習慣化コンサルタントに学ぶ「睡眠を絶対削らず」に早起きする技術とは?
公開日:2016/12/7
世間には多く早起きの本が溢れている。それは多くの人が早起きしたいと望み、なおかつそれが難しいからであろう。なぜ早起きは難しいのか。習慣化コンサルタントとの古川武士氏はこう述べる。
“あらゆる習慣の中で、早起きはとても難易度が高いものの1つです。
なぜならば、起きる時間と寝る時間は、複雑な習慣が繋がった結果決まるものだからです”
早く起きるためには、“早く寝る”ことが必要だ。寝ることも起きることとセットなのだ。さらに早く寝るためには、早く仕事ややるべきことも終わらせなければならない。単純に“起きる”ように見えて、たくさんの要素が絡んでくるのだ。
あなたは次のうちどれかに当てはまっていないだろうか。
早起きに挫折する主な原因
(1)一気に5時起きにシフトする
(2)起きる時間だけを目標にしている
(3)睡眠時間を削る
(4)生活習慣の全体を一気に良くしようとする
(5)突発的イレギュラーの予定に振り回される
(6)早起きへの明確なシフトの理由がない
(7)手放すものが確定していない
(8)早起き+αを同時にやろうとする
まずは起きることだけに専念する
残念ながらひとつでも当てはまったら早起きは続かない。特に見落としがちなのが、まず(8)の「早起き+αを同時にやろうとする」こと。今までたくさんの人の生活習慣を改善してきた古川氏は語る。多くの人は「一度にいろんなことを変えようとしすぎる」と。
例えば「早起きしてジョギング」「早朝に勉強する」という目標。すでに2つのことが盛り込まれていると気がついているだろうか。
なぜ一度に2つのことを実現できないかというと、人には「いつも通り」を維持しようとする習性が備わっているからだ。脳が安全・安定を継続させるために無意識のうちに変化を排除するからだ。だから時間をかけて、そして一歩ずつ小さな変化をしていかなければいけないという。
だからジョギングがしたい、学習がしたい、始業前に仕事を片付けたい、など真の目的があったとしても、それらは一端まずは置いておこう。早起きできただけで、良しとすること。2つ目の目的は「調子が良ければ」できれば良しとする。できなくてもいい。実行しなかったことで自分を責めることは、さらなるストレスを生み、習慣化を遠ざける。
睡眠は絶対削ってはいけない
そしてもうひとつ大切なのが、(7)にある「手放すものが確定していない」との考え方だ。世の中は等価交換で成り立っている。何かを得るには何かを手放さなければならない。それは生活習慣においても同じだ。
それは寝る前にダラダラとスマホを眺めることかもしれないし、いつものメンバーと飲み歩くことかもしれない。これらを手放す覚悟はあるだろうか。
何かを手放すといっても、(3)にあるように「睡眠」時間は削ってはいけない。睡眠不足では、脳は寝ているとき、何もしていないわけではない。睡眠にもれっきとした理由があるのだ。
寝ることは起きているときのエネルギーを充電し、脳疲労を取って快適に過ごすために非常に重要なのである。誰でも寝不足で頭がもうろうとした経験があるだろう。睡眠学の分野ではこれを「睡眠負債」と呼ぶそうだ。
睡眠負債とは“必要な睡眠に対する不足分、すなわち睡眠不足が徐々に溜まっていった累積負債のこと”
人にはそれぞれ適正な睡眠時間がある。例えば7時間が最適な人の場合、平日6時間しか寝られないことは、毎日1時間の睡眠負債が発生していることになる。その負債には返済が必要で、週末のドカ寝にも繋がるという。
睡眠は脳にとって不可欠なもの。今でさえ足りないと思っているのに、さらに削ろうと思うのは間違いである。
時間簿で自分の生活を見直そう
では、早起きを成功させるには何をしたらいいのか。それは先ほどの挫折する原因の反対を実行するだけだ。起きる時間は少しずつずらしていく。そして起きる時間だけではなく、“寝る”時間にも気をつけること。手放す何かを見つけること。それらを少しずつ変えていくこと。そして忘れてはいけないのが「突発的な出来事」への対処法を考えておくことだ。急な飲み会、徹夜の仕事が入ったらどうするか。睡眠負債を溜めずに理想の睡眠に戻す方法を想定しておくこと。
もうひとつ、早起きを成功させるには、家計簿ならぬ時間簿を付けることがお勧めだと古川氏は言う。あなたは24時間をどのように使っているのか。まず洗い出してみよう。先ほども述べたように、“早く起きる”ためには、それ以外の時間も調整が必要だ。
するとあなたは時間をどのように浪費しているのか見えてくるだろう。時間はお金に、たとえればわかりやすい。そう、時間もお金と同じく自分に与えられたリソースなのだ。その資源をあなたは何に使うのか? 早起きをきっかけに今一度自分の資産の配分を整理してはどうだろうか。
ここで紹介した早起きのテクニックは、古川氏の著書『人生の主導権を取り戻す「早起き」の技術』(大和書房)にさらに詳しく紹介されている。たったひとつの習慣であっても、それを変えるには3カ月はかかるという。これだけ長い時間がかけるのだから、失敗してしまってはもったいない。習慣のプロにぜひ成功の詳細を学んで欲しい。
文=武藤徉子