3兄弟が全員京大に受かった完全独学術『勉強嫌いほどハマる勉強法』
更新日:2016/12/26
暗記重視の詰めこみ教育に疑問を持ったことはないでしょうか? 2020年の東京オリンピックが開催される年に大学センター試験は廃止され、今後はセンター試験に代わり記述式をとりいれたテストが導入される予定です。そのため、これから必要となるのは自分の頭で考える思考力や表現力! その力を育てる最高の教材はドリルではなく、テレビやマンガ、映画なのです。
『勉強嫌いほどハマる勉強法』(宝槻泰伸/PHP研究所)では、『お~い!竜馬』(武田鉄矢:原作、小山ゆう:作画/小学館)で幕末史を学び、『銀河英雄伝説』(田中芳樹/徳間書店)で政治学を学ぶといった、テレビやマンガなどを教材にした独自の勉強法を紹介しています。その勉強法で、著者とその弟2人は高校にも塾にも行かず三兄弟全員京都大学に進学しました。
勉強というと、教科書やドリルを使うもの。マンガやテレビなんて勉強から遠いものだと思ってはいませんか? 旧態依然とした日本の詰めこみ教育を受けた結果、多くの人が勉強はつまらないものといったイメージを持っていると思います。そして、つまらないけど我慢して勉強しなくてはならないと思っている人もいることでしょう。しかし、子どもに勉強好きになってもらいたいと思うなら、まずはその勉強の常識を疑うことです。
何か新しい知識を学ぶ際に最も気をつけなければならないことは、「入門の仕方」です。
――入門の際のポイントは、「正しい」よりも「楽しい」なのです。
京都大学に進学した著者を含む三兄弟は、マンガ、テレビ、映画を教材にして新しい知識の世界に入門しました。何かを始めるときに最初が楽しくなければ続かない、積極的になれないのは、大人でもよくあることですよね。教科書を読むよりさきに、読者を惹きつけ飽きさせない工夫や演出が盛りこまれたマンガやテレビから入門すれば、自発的に「もっと知りたい」と興味が持ちやすいでしょう。たとえば、歴史なら上記であげた『お~い!竜馬』で幕末史を学び、伝記マンガから偉人の生き様に心を熱くさせ、人気俳優たちによって実写映画化もされたマンガ『宇宙兄弟』(小山宙哉/講談社)では自然や宇宙への関心をひきやすいはずです。ほかにも本書では、著者によって吟味された最良の入門となるオススメ学習教材となるマンガや映画作品を数多く紹介しています。
もともと「勉強が嫌いな子」も「勉強が好きな子」もいない。「嫌いにする勉強」と「好きにする勉強」があるだけ
著者の宝槻泰伸氏は、子どもたちの探求心を育てる「探究学舎」という学習塾の代表。探究学舎では、著者は探求型と呼ばれる「好きにする勉強」を子どもたちに届けています。「好きにする勉強」とは詰めこみ型の学習ではなく、子どもに探究心の種をまき、子どもが興味のあることや好きなことを徹底してやっていくこと。
一つのことを深く追求し、究める経験をもつことで初めて、知識と知識がつながっていく感覚や、自分の頭で何かを発見する面白さにたどりつけるのです。
新しい発見に喜びを見いだすことが、勉強を好きになる道です。そうやって学んだことこそ、無理やり勉強させられたことよりも、しっかりと知識として定着していくことでしょう。そういえば、私も学生時代から本を読むのが好きで、物語の舞台になった時代やテーマが授業に出たときだけはマジメに授業を聞いていた覚えがあります。そこの内容だけはいまもしっかりと覚えていて、どうせ役立たないと思っていていたのに思わぬところで役立っていたりするから不思議です。つまらない勉強が面白いものに変わる、「そんなバカな」と思っている勉強嫌いさんほどオススメしたい一冊ですよ。
文=なつめ