デキない人は時間ばかりかけてる!超多忙な生活から脱却する具体的な方法とは?

暮らし

更新日:2017/2/6


『自分の時間を取り戻そう―――ゆとりも成功も手に入れられるたった1つの考え方』(ちきりん/ダイヤモンド社)

 年中「忙しい、忙しい!」とつぶやいている人は少なくないだろう。勤勉な国民である日本人にとっては、忙しく働くことこそ美徳、身を粉にして長時間働く人が良しとされる傾向がある。しかし、最近は、働き過ぎによるうつ病や自殺など、さまざまな歪みがクローズアップされるようになった。

 果たして「忙しい」ことは、働いている企業だけではなく、働いている本人にとっても、本当によいことなのだろうか? 『自分の時間を取り戻そう―ゆとりも成功も手に入れられるたった1つの考え方』(ちきりん/ダイヤモンド社)は、人気社会派ブロガーである著者が、仕事や家事、育児などで忙しすぎる生活は、本当に「避けられないもの」、「がんばって乗り切るべきもの」なのかと疑問を呈し、そこから脱する方法を、合理的かつ論理的に示した本だ。

 本書では、例として4人の「忙しすぎる」人たちが紹介されている。

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1人目:第一志望の会社でバリバリ活躍する、デキる男 正樹
2人目:仕事と育児を両立しようと奮闘する、頑張る女 ケイコ
3人目:リーマンショック、ブラック企業、底辺フリーランスと苦境の数々を経験してきた、休めない女 陽子
4人目:起業に成功しながらも踊り場を迎えて悩む、焦る起業家 勇二
 

 4人の抱える悩みを読むと、あなたもきっと、このうちの誰かに重なる部分があるだろう。職種も立場も異なる彼らに共通する問題点として、著者のちきりんさんが指摘するのは、ずばり「生産性が低すぎる」ということ。それを解決するには、当然ながら「生産性を上げる」ことだが、ちきりんさんは、4人と質疑応答する形で、どうしたら各々の仕事で生産性を上げられるかを解説していく。精神論ではない、限りなく論理的な説明に、これまで持っていた仕事に関する固定観念は打ち壊されるだろう。

生産性=得られた成果(アウトプット)/投入した時間やお金などの希少資源(インプット)

 つまり、生産性が上がるということは、いかに少ない資源で高い成果が得られるかということ。したがって、仮に仕事の成果が上がったように見えても、それが長時間労働、かかる残業代、従業員の疲労などの結果であれば、決して生産性が上がったことにはならないのだ。

 仕事に限らず、生活全般に「生産性」という考え方を取り入れると聞くと、ギスギスした余裕のない暮らしをイメージしてしまう。が、ちきりんさんの説くのは決してそうではない。生産性を上げることこそが人生にゆとりをもたらし、本当にやりたいことをやれるというのだ。

今後、私たちの暮らす社会では、これまでに経験したことがないほど速いスピードで、しかもあらゆる場面でこの高生産性シフトが進みます。

そして、

社会の高生産性化は不可避であり、もはや後戻りすることはありません。

 世の中の状況を鑑みると、確かにそうだと思われる。そろそろ頑張ることそのものより、「生産性を上げる」という方向に発想を転換していくべき時かもしれない。

文=森野 薫