仕事で笑顔は当然? あなた「感情労働」で疲れていませんか?
公開日:2017/1/24
「感情労働」を知っていますか? これは「仕事をする上で、感情をコントロールする必要がある」職業を指す言葉。肉体労働者が身体的なパワーを、頭脳労働者が専門的な知識の量や正確性等が必須なように、感情労働者はどんなに疲れていても仕事に必要な感情状態でいるか(例えば明るく朗らかなこと、あるいは真面目で厳格であること)、あるいはそう見えるように振る舞わなければならない。
例えば、仕事中に笑顔を作らなければいけない人、言いたいことを我慢している人、「別人格」になることで乗り切る人、そんな人が「感情労働」をしていることになる。
思い当たる方も多いのでは? そしてもしあなたが現在ストレスで疲れているとしたら、その原因は日々の感情労働にあるのかもしれない。
『あなたの仕事、感情労働ですよね?』(関谷大輝/花伝社)によると、今まで名前のなかった、しかしかなりエネルギーを使う感情労働を客観的に見つめ直すことで、実際にどれほどの努力をしているものなのかを知ることができるというのだ。
感情労働をすることで心身にどのような影響が出るか、会社や組織でできるケア、セルフケアなどが科学的なデータや研究結果に基づいて紹介されていて、「感情労働レベルの測定ツール」を使えば、自分が普段どの程度「感情労働」しているかも分かる。
医療、教育、飲食など実際の現場で働く人たちの生の声も掲載されており、「私だけじゃないんだ」と共感できることも多いだろう。多くの仕事が感情労働化しつつあると言われる現在、そのストレス対策とはどんなものなのだろう。
会社や組織ができるケア
まずはどこでも誰でもできるケア「ひと声かける」を実践したい。人は、周囲からの一言があるだけで「あの人はちゃんと見てくれている」と感じてホッとするものだ。
ストレスが溜まると「ストレスを発散する」ことすらおっくうになって、余計にストレスを溜め込んでしまう。従業員が燃え尽きてしまわずに、持続性のある組織を目指すなら、個々人にあった様々なケアを「初期段階で」実践する柔軟な空気が必要だ。
自分でできるケア
ストレス対策は万人に効く特効薬がないので「自分にあう」ものを探すことになるが、まずは感じてはいけない感情はないことを知ろう。そもそも感情は湧き上がってくるもので、意識してコントロールするのは難しい。「こんなことを思うなんてプロ失格だ」などと思って自分を責めるのではなく、それを一旦認める。その場で表現できないとしても紙に書き出したり適切な場で人に話したりして吐き出し、そんな気持ちになってもなお仕事を遂行している自分を認めてあげよう。自分の感情に寛容になることは、自分のみならず組織やクライアントのためになることを知ってほしい。
必要なときに適切なストレスケアさえ行えば、いま以上に仕事を楽しめるようになるにちがいない。
文=青柳寧子