「うつ症状」で不登校、学年ビリの落ちこぼれからなぜ「東大現役合格」できたのか?
公開日:2017/2/1
人生には避けて通れないものがたくさんある。そのうちの1つが受験だ。高校入試、大学入試、就職試験などに合格するため、今も胃をキリキリと痛めながら勉強をしている方がたくさんいるはず。そこで今回は『試験に受かる「技術」』(吉田たかよし/講談社)をご紹介したい。
本書は医学博士であり、コメンテーターであり、著書を多数出版している吉田たかよし氏が授ける受験必勝法だ。吉田氏は名門灘高校出身であり、東京大学理科一類、国家公務員I種、医師国家試験など、華々しい合格歴がある。さらに受験生専門の心療内科「本郷赤門クリニック」院長、受験うつ患者を受け入れる「新宿ストレスクリニック」顧問、学習カウンセリング協会理事長などなど、受験生のメンタル面を応援する活動もしている。そんな受験合格エリートの吉田氏が授ける「灘高が教えてくれた超合理的メソッド」を見ていこう。
受験勉強の初日に過去問に挑戦する
受験生ならば過去問の重要性は嫌でも分かっているだろう。しかし吉田氏に言わせれば、まだまだ甘いそうだ。ほとんどの受験生はまず受験科目の基礎を勉強し、ある程度問題を解く能力を身につけたところで過去問に挑戦するはず。ところが吉田氏は、受験勉強の初日に過去問を解いてほしいと訴える。たとえ1問も正解できなくても、解くためには、合格するためには、これからどのような勉強をする必要があるのか方向性を決めることができるのだ。ポイントをしぼった学習法を初日から決めることで、本来勉強をしなくてもよい分野を「リストラ」することができ、より合理的に受験勉強ができる。
さらにもう1つ過去問を初日に解く利点がある。大学や高校の入試の場合、その試験は入学する上で必要な知識を問うものなので、試験内容が自分に合わなければ早々に志望校を変えることができるのだ。まだ過去問を解いたことがない受験生は今すぐ過去問を解いてほしい。また一度解いたら終わりではない。過去問には出題者のサイクルや傾向があり、徹底的に過去問をやり尽すことで、そのサイクルと傾向を見極めることができる。3か月に1度は過去問を解き直してほしいと吉田氏は訴えている。
時間配分攻略法
誰もが失敗するテストあるある「時間配分を失敗した…」。これが学校のテストならまだいいものの、入学や就職をかけた試験なら目も当てられない。この失敗を徹底的に防ぐため、入試直前は模擬テストに勉強時間の半分を充ててほしいと吉田氏は指摘する。
模擬テストとは、受け終わった後で検証し、問題点があれば修正するというプロセスを通して、受験の技能を向上させてくれるもの。どの問題にどのくらい時間を使ったのか正確に把握できていなければ、検証もできず、スキルアップも見込めないのだ。
吉田氏のおすすめは、試験問題の大問の横に数字の4桁を記入することだ。この4桁とは時刻のこと。例えば10時15分に大問1を解き始めたとすると、大問1の横に「1015」と記入。そして大問2を10時33分より解き始めたとすると、大問2の横に「1033」と記入。こうすると大問1に18分かけたことが一目で分かり、模擬テスト終了後、時間配分は適切だったか、改善点はあるかなどの検証を行えるのだ。
さらに吉田氏おすすめの国語の試験の時間配分攻略法を紹介しよう。国語の試験で点数を稼ぐには、漢文→古文→現代文(論説文)→現代文(小説)という順番で解くのがいいという。吉田氏は医学博士でもある。一般的に脳の前頭前皮質が生みだす論理的思考力は試験の前半に高まる傾向にあるので、理屈っぽい漢文は真っ先に解くべきだそうだ。古文は恋愛を扱う内容が多いが、省略されている主語を見つけ出すなど、パズルの要素を含む問題が多いので前半に解くべきだ。その後に時間のかかる現代文に手をつければよい。
本書ではこの他にも「赤マーカー・緑シートの記憶法は役に立たない」「どんな精神状態でもケアレスミスを犯さないテクニック」「マークシート攻略法」などを紹介しており、入学試験や就職試験を控える方は絶対に手にしておきたい一冊だ。受験とは人生のターニングポイント。その結果次第で人生が大きく変わるので、合格する努力を惜しまないでほしいと願う。
文=いのうえゆきひろ