定番の接着剤「セメダイン」は「攻めていた」?思わず「ヘぇ!」と言ってしまう文房具の雑学
公開日:2017/2/9
文房具ブームって、いつまで続くんだろう。これだけブームだ何だといわれると、それってもはや「普通なんじゃね?」と思うのである。しかし、日常生活でこれほど愛されるアイテムもない。試しにAmazonでキーワード検索してみると、じつに21万件以上の商品が並んでいると分かる。
おそらく「文房具にふれたことがない」なんて人はいないと思うが、そんな身近な文房具のウンチクを集めたのが『あなたに教えたい! 5分でわかる44の文房具トリビア』(セブンデイズウォー)である。
古今東西にある様々な文房具の歴史や意味を伝えてくれる一冊であるが、本書を読んで「へぇ」と思わずつぶやいてしまったのは、何となく使い分けていたモノの定義である。
例えば、異なるモノ同士を付ける「接着剤」。のりや接着剤、ボンドやセメダインなど呼び方の異なる商品がお店の棚にはいくつか並んでいるが、じつはそれぞれには違いがある。
のりは元々「米や麦などのでんぷん」を原料としたものであり、化学的に石油などを合成した商品が多くある現在では、何かをくっつけるモノの総称として「接着剤」という言葉が使われているという。
では、ボンドやセメダインは何かといえば、どちらも決まったメーカーの商品名である。木工用の接着剤を総称するイメージのあるボンドは、家庭用や工業用の接着剤を手がけるコニシのブランド名。一方、セメダインも大手接着剤メーカーのセメダイン社が手がける、商品のブランド名だ。
ちなみにこのセメダインだが、ロングセラー商品である黄色いチューブでおなじみの「セメダインC」が比較的有名である。ただ、ここでひとつ疑問となるのは何故「C」なのかということ。じつはこれにも、答えがある。
セメダインは元々、明治時代にイギリスから輸入されたイギリス製の接着剤「メンダイン」に対抗して作られたものだった。メンダインに負けじと対抗するという意味から「攻め」という言葉が用いられたのだが、研究段階のA号とB号は接着力が弱くボツになってしまった。その後、改良を重ねて1938年にようやく完成したのが、納得の行く強度を持ったC号だったというわけだ。
さて、モノというのは使い方さえ分かっておけば、歴史や由来、本来の意味を知らずとも役に立つのは事実だ。しかし、じっくり掘り下げてみると、不思議と愛着がわいてくるというのも真理ではないだろうか。本書では他にも、身近な文房具のウンチクがたくさん掲載されている。どんなモノに興味を持つかは人それぞれであるが、ひとまず東急ハンズまで、いつ役立つか分からない「セメダインC」を買いに行ってみたくなった。
文=カネコシュウヘイ