江の島には、猫の世話をする「ねこもりさん」と呼ばれる女性たちがいた―ある食堂で起こった100年目の奇跡とは?
更新日:2017/11/12
『ペンギン鉄道なくしもの係』や『金曜日の本屋さん』シリーズなどで知られる小説家、名取佐和子の新刊『江の島ねこもり食堂』が2017年2月10日(金)に発売された。江の島を舞台に、ある食堂にもたらされた100年目の奇跡とは―。
「江の島で暮らしている誰かを書きたいという願いがやっと叶いました」と著者が振り返る同書は、100年にわたる家族の物語であり、2年もの執筆期間を要した渾身の書き下ろし作品だ。
江の島に「ねこもりさん」と呼ばれる女たちがいた。それは島の猫の世話をするという、とある食堂の隠れた仕事。1915年のすみゑ、1963年の筆、1988年の溶子、そして2017年の麻布。一家の女たちが、ねこもりとして生きたそれぞれの人生は、新しい命を結び、未来を繋いでいく…。
小さな島ながら、その風光明媚な景色から“絵の島”と呼ばれていたとも言われる江の島。それぞれの主人公の名前が「絵」にまつわるものになっているのも、著者の江の島という舞台に対する思い入れの表れだ。
そして、「家族の物語」であると同時に、同書は連綿と受け継がれていく命の物語でもある。それぞれの時代を情感たっぷりに描いた各章をじっくり読み進めていくと、結末に向かっていっそう感慨深くなっていくはずだ。
目には見えなくても、そうとは知らなくとも、私たちの中には確実に、母から、祖母から、脈々と引き継いだものが存在するのだ。それが今の自分を作っていると思うと、なんだか自分自身が愛おしくなってくる。書評家・大矢博子(帯文より)
あなたの血にもきっと流れている、百年の物語。のんびりと暮らす猫たち、そして猫たちを守る女性の姿とその情景に思いを馳せてほしい。年齢や性別にかかわらずぜひ多くの人に読んでほしい、新たな感動作が誕生した。
名取佐和子(なとり さわこ)
兵庫県生まれ。明治大学卒業。ゲーム会社に勤務した後、フリーとして独立。ゲームやドラマCDのシナリオを手がける。2010年『交番の夜』でデビュー。著書に、第5回エキナカ書店大賞第1位に輝いた『ペンギン鉄道なくしもの係』、『シェアハウスかざみどり』、『金曜日の本屋さん』シリーズがある。
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