地元酒販店がおすすめする、絶対に飲みたい新潟の日本酒は◯◯◯【日本酒おすすめ銘柄9つ】
公開日:2017/2/17
今年の冬も寒い。だからこそ熱燗が美味い季節だ。仕事帰りに居酒屋で熱燗をキュッと一杯やる楽しみは、冬だけでしか味わえない贅沢。その贅沢をもっと楽しむため、『本気で旨い日本酒』(洋泉社)をご紹介しよう。本書は、日本中の美味い日本酒を紹介しており、ツウな日本酒好きも納得の一本が見つかるはずだ。
■絶対に飲みたい新潟の美味い地酒
日本酒といえば、新潟県をイメージする方が多いのではないだろうか。「久保田」「八海山」など、有名銘柄が多く、吟醸酒の出荷量は全国第1位(2015年)。質の高いお酒が出回っているせいか、新潟県の1人当たりの日本酒の年間消費量も12.4リットルで全国第1位(2015年)。新潟県はまさに日本酒王国といえる存在だ。本書では、改めて知りたい新潟の美味い酒を特集で取り上げている。
質の高い米と水で造り上げられた新潟の地酒。その中でも地元酒販店がおすすめする地酒がこれだ。
・「鶴の友 上白」〈樋木酒造〉
端麗辛口ながら、芳醇かつふくよかなうまみも感じられる独自の味わい。後味がすっきりと流れ、飲むたびに軽やかなおいしさを実感できる。普通酒とは思えないレベルの高い日本酒で、新潟の定番酒でもある。
・「泉流 こしのはくせつ 特別本醸造」〈弥彦酒造〉
すっきりとした喉ごしと、まろやかなコクの調和が整った淡麗旨口の日本酒。吟醸レベルまで磨かれた米を使い、原酒の割合が高いため、本格的な味わいが楽しめる。
・「八恵久比岐 風 純米吟醸」〈頚城酒造〉
原料米に地元の契約栽培米「越淡麗」一等米を使用し、無ろ過、瓶燗火入れ、12カ月以上の瓶貯蔵という、できることをすべてやり尽した、蔵元渾身の酒。米本来の旨みが感じられ、後口はキレのある辛口、味わいはそよぐ風のような優しさ。
■世界一の日本酒
「インターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)」というロンドンで開かれているワインコンテストをご存じだろうか。これは世界一のワインを決める世界最大規模のワインコンテストだ。2007年、このIWCに「SAKE部門」が創設された。その「SAKE部門」で二度、世界一の日本酒を出した酒蔵がある。山形県天童市にある「出羽桜酒造」だ。そして世界チャンピオンに輝いた酒が「純米大吟醸 一路」(2008年)と「純米酒 出羽の里」(2016年)だ。
「純米大吟醸 一路」は吟醸酒作りの路一筋に打ち込むという思いで名づけられた日本酒。この受賞をきっかけに様々な「路」が広がった、出羽桜酒造にとって思い入れのある酒だそうだ。「純米酒 出羽の里」はすっきりとした味わいで、山形県の酒造好適米「出羽の里」で仕込んでいるという。酵母も山形のものを使っているそうだ。
■ちょっと変わった日本酒
日本酒と一口で言っても、種類は様々。さらに現在では好みの多様化に合わせ、あらゆる日本酒が造られている。まずは度数13%以下の低アルコール日本酒を紹介しよう。
・「賀茂金秀 特別純米」〈金光酒造〉
加水せず、原酒の状態で度数を13%に抑えている。低アルコールならではの飲みやすさをもちつつ、しっかりとした米の風味も感じられる。
・「讃岐くらうでぃ」〈川鶴酒造〉
麹を通常より多く使用した度数6%の低アルコール日本酒。うすにごりで、乳酸飲料のようなクリーミーさと甘酸っぱさがある。スパイシーな肉料理と相性が良く、氷を入れてロックで飲むのがオススメ。
水に対する日本酒の比重を表す値「日本酒度」。プラスなら辛口、マイナスなら甘口に分類される。その両極端といってもよい日本酒を紹介したい。
・「常山 特別純米」〈常山酒造〉
「純米酒でどれだけ辛い酒が醸せるのか?」というコンセプトで造られているスペシャル辛口酒。その日本酒度は「+20」。超辛口ながら米の旨みをしっかり感じられる、ふくらみのある味わいが特徴。
・「天野酒 僧房酒」〈西條〉
豊臣秀吉も好んだ天野山金剛寺の僧房酒(平安~江戸時代に大寺院で醸造されていた日本酒)を、文献をもとに復活させた復刻酒。ウイスキーのような琥珀色の見た目、日本酒度「-100」という濃厚な甘口の味わいは、現代の日本酒とは全く異なる。
本書によると、日本酒の消費量は1957年頃のピーク時と比べると3分の1まで減ってしまったそうだ。しかし、純米吟醸酒や純米酒といった「特定名称酒」にしぼると、消費量は増えているらしい。品質の高い日本酒が求められているのだ。さらに海外への日本酒の輸出量も順調に増えており、日本酒の未来はかなり明るそうだ。世界中で日本酒ブームが到来しているといってもいいかもしれない。
日本には寒い冬があり、そして熱燗がある。もうちょっと冬は続きそうだが、美味い日本酒があれば、なんだか美味しく乗り切れそうだ。
文=いのうえゆきひろ