ウォーキングより2倍の効果、苦しくないのにやせる! 話題の「スロージョギング」って?
更新日:2020/10/1
■ウォーキングより2倍の効果がある
では“疲れない”にもかかわらずなぜやせるのか。その話をする前に、大前提として確認しておきたい。やせるとは、「摂取エネルギーが消費エネルギーより少ない」ことである。つまりスロージョギングをしても、まんじゅうや大福を食べれば、“いってこい”で、やせはしないということだ。
けれども、ちょっとの食事制限に、ちょっとのスロージョギングをするだけで、消費エネルギーは増え、格段にやせやすくなる。
本題に戻ろう。スロージョギングは、なぜやせやすいのか。それは、「速度とエネルギーの消費量」が関係していると、前述の田中氏は分析する。
ウォーキングは「速度と相関」してエネルギーの消費量が変わる。一方、ランニングは、速度に関係なく「エネルギ消費量が一定」ということ。
つまり、ウォーキングは苦しいほどの早歩きでないと、ランニングほどのエネルギー消費は得られない。さらにランニングは、早く走ろうが遅く走ろうが、エネルギー消費は同じ!
田中氏はスロージョギングの効用を次のように説明する。
ランニングの場合のエネルギー消費量は図で示したとおり、スピードにまったく関係なく体重1kg あたり1km につきおよそ1kcal です。同じ5km をウォーキングではなくスロージョギングで走れば、なんとウォーキングの倍の350kcal を消費できるわけです。
スロージョギングは、苦しくないにもかかわらず「歩くときよりおよそ2倍のエネルギーを消費できる」というわけだ!
さっそくスロージョギングを始めたい人に注意点がひとつ。それは、先ほどの(2)にもある「フォアフット」で走ること。体育の時間に、走るときはかかとから着地すると習った人も多いだろう。けれども近年の研究では、足の付け根、つまりフォアフット着地にくらべ、かかとでの着地の方が、およそ3倍も衝撃が大きいことが発表された。
ランニングすると膝や股関節などを悪くするのは、かかと着地が原因のひとつでもあったのだ。
■フルマラソンも走れるようになる
しかもうれしいことに、スロージョギングには、準備運動が不要というのだ。にこにこペースで走るスロージョギングは、日常的な動きとほとんど変わらない。そして走る前のストレッチは、筋肉を伸ばすことで、「収縮力が低下」し、走るときのバネの役割が弱まってしまうからだという。
その他にもスロージョギングをする際は、アゴを引いたり、呼吸法など、今までのランニングの仕方よりも革新的なことが多数ある。走る前には『ランニングする前に読む本 最短で結果を出す科学的トレーニング』をぜひ読んでからはじめて欲しい。
科学的根拠のあるスロージョギングの仕方、そしてダイエットするための効果的方法だけではなく、マラソンを走りたい人へのアドバイスも載っている。スロージョギングをはじめれば、たったの3カ月でフルマラソンを感想できるという。
また見逃せないのが高血圧や認知症など予防医学としてのスロージョギングの生かし方だ。
とにかくスロージョギングで得られるメリットは盛りだくさんである。中級のランナーやアンチエイジングに興味のある人もぜひ手に取って欲しい。
文=武藤徉子