全国2770万人が腰痛持ち! 有名スポーツドクター考案、超簡単! セルフケア・メソッドで、強い腰になる
公開日:2017/3/1
厚生労働省の発表によれば、腰痛を持つ人は全国で2770万人もいるという。日本の人口が約1億2700万人だというので、その割合はじつに、およそ5人に1人の計算になる。さらに、そのうち85%の人びとが原因不明で、何度もぶり返す腰痛に悩まされているそうだ。
立つ、座る、歩くといった日常生活の動作に支障をきたす腰痛であるが、「原因のない腰痛なんてありえません」と力強く主張するのは、様々な五輪アスリートをサポートしてきたスポーツドクター・金岡恒治さんによる書籍『もう2度と痛まない強い腰になる』(主婦の友社)である。
本書は、ぶりかえす腰痛に悩む人たちへ、誰でも簡単にできるセルフチェック方法や解消方法を伝えてくれる一冊であるが、その内容を紹介していこう。
◆腰痛は4タイプ。セルフチェックで原因となる箇所を探る
ぶり返す腰痛は原因が「見えない腰痛」だとする本書。しかし、近年の研究では頚椎周辺の「小さな傷」がその原因であると徐々に解明されてきたという。そして、著者の診察経験によれば、原因となる場所ごとに下記の4タイプに分類される。
【a】背骨のクッションに異常があるタイプ(椎間板)
【b】背骨の関節に異常があるタイプ(椎間関節)
【c】骨盤内の関節に異常があるタイプ(仙腸関節)
【d】背骨に沿った筋肉に異常があるタイプ
ただ、これだけではイメージがしづらいかもしれない。そんなときに役立つのが、本書で紹介されているふたつのセルフチェック方法だ。
ひとつめは、一定のポーズをとってみて痛みをわざと引き起こす「誘発テスト」と呼ばれるもの。上半身だけをかがめる「前屈」で痛む場合は【a】タイプ、上半身をのけぞらせる「後屈」で痛む場合は【b】タイプ。さらに、上半身を左右に振る「ななめ後屈」で痛む場合には、【b】タイプの左右どちらかに原因があることが分かるという。
そして、【c】タイプと【d】タイプを判明させる方法が、腰の特定の場所を押す「圧痛テスト」と呼ばれるものだ。やり方は簡単で、背骨を中心に腰のまわりを親指で押してみるだけ。ズボンを履いたときのベルトからの位置を目安に、下の部分が痛むようなら【c】タイプ、上の部分ならば【d】タイプの腰痛であることが判明するそうだ。
◆腰痛を防ぐための「腹横筋」と「多裂筋」を刺激するエクササイズ
原因が分かったところで、やはり気になるのは腰痛の再発を防止するための方法だ。本書では、脇腹の奥にある「腹横筋」と背骨のすぐそばにある「多裂筋」を刺激して、腰痛への「防御態勢」を作るための寝ながらできる6つのエクササイズが紹介されている。
例えば、腹横筋を刺激する「仰向けのドローイン基本形」と呼ばれる方法がそのひとつだ。手順は大きく分けて、以下の3つとなる。
(1)ひざを立ててあお向けになり、左手と右手の親指で腰骨の内側をつかむ
(2)腹式呼吸をしながら、お腹をめいっぱい引っ込める
(3)そのままの状態で肺呼吸に切り替えて、10〜30秒間キープする
この方法でのポイントは、右手と左手の親指でお腹の筋肉がキュッと硬くなっている感覚をつかむこと。人間の“コルセット”代わりになっている様々な筋肉と連携する部分を、強化する効果が期待できるという。
また、仰向けではなく「横向きのドローイン」と呼ばれる方法もある。先ほどと同じく、3つの手順で行える。
(1)横向きの状態で片腕を枕にして、もう片方の腕を前方の床につける
(2)先ほどの姿勢のまま、呼吸をしながら身体やひざをまっすぐ保つ
(3)床から脇腹をお腹の力だけで浮くように持ち上げ、ゆっくり戻す
この方法は左右両方でやるのが効果的。腰まわりを支える筋肉を、まんべんなく刺激できるという。
いずれのエクササイズも毎日1回から始めるのがよいというが、痛みがともなう場合などは無理をしないようにするのも重要。好きなときに好きなだけ試してみよう。
本書ではこれらの他にも、細かな部分をほぐすためのストレッチなどがたくさん紹介されている。「いつまた痛くなるのかもしれない」とビクビクする毎日を送っているのであれば、すぐに試してみたくなるエクセサイズが詰まった一冊である。
文=カネコシュウヘイ