その人生の選択「ニセの願望」じゃありませんか? 本当の願望がわかる「5つの質問」とは?

生活

公開日:2017/3/2

 問題や課題を抱えると、その解決に向けて私たちは「自問自答」で考えを巡らせる。そんなとき、自分に対して無意識のうちにしている最初の質問があるという。以下のABのうち、あなたの場合はどちらだろうか?

A「自分に解決できる問題かな?」    
B「どうすればこの問題が自分に解決できるだろうか?」

 AとBは似て非なる言葉だ。この無意識のうちに最初に生じる質問を、コーチングでは「プライマリー・クエスチョン(第一の質問)」という。Aは“いつもできない言い訳を探す傾向”があり「物事がうまくいかない人」、Bは“つねに問題解決の手段を探し続け”ようとする「物事がうまくいく人」だそう。

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 本書『人生の悩みが消える自問力―――「5つの質問」と「自問自答」ですべてが好転する』(堀江信宏/ダイヤモンド社)では「効果的な自問自答をする方法」を「自問力」と定義。「5つの質問」を自問することで「本当の願望」に基づく行動がとれ、人生が変わると説く。

 自分に問いかける“いい質問”とは、次の「5つの質問」である。

質問(1)「自分が得たい結果は何だろう?」・・・・・・問題を「自分事」としてとらえる質問
質問(2)「どうして、自分はそれを得たいのだろう」・・・・・・自分の目的を明確にする質問
質問(3)「どうしたら、それを実現できるだろう?」・・・・・・可能性に目を向ける質問
質問(4)「これは、自分の将来にとってどんな意味があるのだろう?」・・・・・・いい意味づけをする質問
質問(5)「今、自分がすべきことは何だろう?」・・・・・・自分を動かす質問

 人間、悩みやトラブルに直面したとき、即座に不快や怒りといった感情が湧きあがるもの。だが、マイナスの感情が発する言動は、冷静になって思い返すと後悔することが多い。だから質問①のように、感情に支配されることなく、“自分が望む結果”に焦点を合わせることが肝心。

 また「ニセの願望」についても、第3章「ニセの願望にだまされるな」で詳しく解説している。例えば「“ニセの願望”と“本当の願望”を見分ける自問自答」の項目では、次の自問自答を勧めている。

「今、自分が大切にしているものは何だろうか?」

 本当の願望とは、どこか義務感が漂う願望や不安を埋めるような“ニセの願望”ではなく「心から素直に望むもの」であり、その姿勢によって自己だけでなく周りにも幸せが広がるものだ。「自問自答によって、今の環境の中から“自分に幸せを与えるもの”を見出し」明らかにすることが重要と説く。その他にも「あなたが求めている満たされない“感情”は何か?」「悩みは自分を成長させる“ギフト”としてとらえてみる」などの項目が並ぶ。本書は、章が終わるごとに“まとめ”があり、章ごとに整理しながら読み進められる。そして自身で「本当のなりたい自分」へと導いていく。

 著者は大手商社で研鑚を積み、2004年にイベント企画運営会社を設立。コーチングの世界で講師やコーチ育成の高い定評を得る。だが、自らも人気トップコーチとして活躍中の2015年秋、悪性リンパ腫を宣告される。この時も「自問力」で導き出した思考と行動で、自分が納得した治療に専念し、ガンを2016年春に寛解(かんかい)。コーチングも再開し、本書でガン経験も“ギフト”と位置づけ、人生の新たなステージを歩んでいる。

 まもなく新年度。進路や人生の岐路に立つ人もいるだろう。「自問力」で自分の目的を明確にしておけば、後悔のない選択ができるだろうし、環境の変化に関連したストレスも回避できそうだ。さらに、自らの想像が生み出している恐怖や不安、思い込みも「自問力」で修正して、この春、人生を好転させよう。

文=小林みさえ