日本女性はスキンケアを頑張りすぎ? ほんとうに美しくなるために大切なこと
公開日:2017/3/11
パリジェンヌといえば、魅力的な女性の代名詞。恋愛、ファッション、ライフスタイル。彼女たちの生態を取り上げた本を、日本の書店で見ない日はない。
しかしどうしてこうもパリジェンヌは、日本の女性にとって魅力的に映るのか? そんな問いに対して、『パリジェンヌより綺麗になる! 秘密のスキンケア』(岩本麻奈/西村書店)の著者は「センシュアルな生き方が身についているから」と答える。
センシュアル。それは官能的でありながら、磨き抜かれた感性と知性に裏打ちされた「内面から滲み出る美」をも含む概念だ。外見や年齢に左右されない魅力。
著者は言う。
年齢や体型、性別といった外面的な要素を凌駕し、「ずっと一緒にいたい」と思わせるエターナルな輝きを放つのが、“センシュアル”なのです。
皮膚科医である著者曰く、日本の女性の肌質は世界一とのこと。肌のキメが細かく、水分量も多くてしっとりしている。しかも美容に対する関心も高く、パリジェンヌの何倍も美容にお金をかけている。それなのに、トータルの美しさでパリジェンヌに負けてしまうのは、センシュアルなエッセンスが足りないから。
逆に、ほんの少し発想を変えるだけで、パリジェンヌにだって負けない「美しさ」が手に入る。大和撫子とパリジェンヌのいいとこ取りで、年齢にとらわれない魅力的な女性を目指そう、というのが本書の趣旨である。
そんな著者のアドバイスはきわめて実践的。たとえば肌のお手入れについては、もともと肌が綺麗な分、シンプルで十分だという。正しい洗顔と保湿ケア、そしてUV対策。著者に言わせれば、日本女性はスキンケアを頑張りすぎらしい。高価な化粧品に費やすお金や肌の手入れに回す時間を、読書など自分の内面を充実させるような行為にあてた方がいい。さらにボディケアにも、顔と同じくらい気を遣うこと。
確かに、思わず触れたくなってしまうボディを作るというのは大切かもしれない。特に異性への魅力という意味では……。
フランスでは、頰を触れ合わせるビズの文化があったり、異性間でのボディタッチが盛んだったりするせいか、顔はもちろんボディの触り心地のよさに対するこだわりが強いようだ。さらに露出の多い格好をする機会も多いため、デコルテや首、腕などそれぞれのボディパーツの美しさも重要らしい。香りやランジェリー、アンダーヘアまで、普段は人目に触れない洋服の下まで気を配るのがパリジェンヌ流である。
そんなところまでパリジェンヌたちがお手入れの手を抜かないのは、彼女たちがズバリ肉食系女子だから。なんといってもフランスは恋愛大国。身体の関係から恋愛が始まる、なんてことも日常茶飯事らしい。いつ誰かに見られてもいいように、脱いでも綺麗な私のために準備を欠かさない。パリジェンヌ流身だしなみは、そもそもの発想が実践的、かつ色っぽいものなのだ。
パリジェンヌは恋愛至上主義者である。美容は自己満足のためではなく、誰かを魅惑するために行うもの。1つ1つは小さなこだわりかもしれないが、その積み重ねから生まれる「色っぽさ」の破壊力たるや。なんともいえない魅力となって、私たちの目を惹きつけるのである。
ただし、それも内面の豊かさがあってこそ引き立つもの。見た目の美しさは年をとると衰えてしまうものだが、知性や感性、品格といった内面の美は年を重ねても磨き続けることができる。
ある意味、パリジェンヌはバランス感覚に優れている人々なのかもしれない。顔と身体。外見と内面。目に見える部分も、目に見えない部分も、大切にしている。それは、外見のみならず内面も「センシュアルな私」を演出することにつながるだろう。パリジェンヌの美は、きわめて戦略的なセルフプロデュース力に裏打ちされたものだったのだ。
文=遠野莉子