「表紙詐欺」と話題! 10ヵ月連続重版がかかった『あそびあそばせ』に、女優・のんもドハマリ!? 最新巻も期待を裏切らない爆笑ギャグのオンパレード!
更新日:2017/6/4
女優・のんさんが朝日新聞で開始したコミック書評連載。その第1回目で取り上げられたのが『あそびあそばせ』(涼川りん/白泉社)だ。書評の中で「“笑える”という前情報をどう捉えたらいいのか少し混乱しました」と紹介されている本作。それもそのはず、表紙に描かれる美少女を見る限り、抱腹絶倒のギャグマンガとは思えないだろう。しかし、そのギャップにやられる人が続出しているのである。
主人公は女子中学生・オリヴィア、香純、華子の3人。前述の通りその容姿は美少女然としている。けれど、フタを開けてみればそれを裏切るような設定の数々が飛び出す。外国人のオリヴィアは日本語しか話せないのにもかかわらず、クラスメイトの前ではカタコトの日本語を使い、しかも脇からスパイシーなニオイを放つ。メガネっ娘属性を持つ香純は「英語2点」という頭の悪さを披露し、自作のBL小説をしたためる隠れヲタ。ツインテ女子の華子は「リア充爆発しろ」思考の持ち主で、悪巧みばかりしている。物語はこんな女子3人組が結成した「遊び人研究会」を舞台に、ギャグ満載の日常系コメディへと展開していくのだ。
第1巻、第2巻はツイッター上でその面白さが拡散され、緊急重版がかかるほどヒットした。そして、2月28日(火)に発売された第3巻では、さらなる笑いを見せつけている。
たとえば、「恐怖の女の回」では学校のスキャンダルが書かれた「バナナ文書」を盗み出すために生徒会室に忍び込む様子が描かれる。しかし、そこに訪れる生徒会長。あそ研の3人は急いで机の下に身を隠す。すると、オリヴィアの眼前に華子のお尻が。「今ここで華子がおならしませんように……」というオリヴィアの願いも虚しく、華子はすかしっ屁を放つ。……とここまで書いていて、どうしても笑いが止まらない。他人のお尻に顔を埋めてしまう状況も信じられないし、おならをする時の「おしりよ、声を出さずに息をするのだ」という華子の心の声もありえないくらい面白い。これがテンション高めのキャラクターではなく、あくまでも美少女たちが行っているからこそ、さらに輪をかけて笑えるのだろう。
また、これまでに積み重ねられた設定を活かす展開も見もの。「電波でGOの回」では、補習を受けているオリヴィアと香純を待つ華子が、香純のノートパソコンに保存されているBLを覗き読みする。そのタイトルは「監禁愛――少年の蜜の味」。しかも、タイミング良く補習を終えた香純が、そんな華子の様子を逆に覗き見ているという展開が待ち受けている。「やめてぇぇぇぇ、そこには私の秘めた欲望が詰まっているのぉぉぉぉぉ」という香純の心の叫びから、その恥ずかしさが窺い知れる。
「バイキン、ゲットだぜ!の回」では、菌の検出機能を持つスマホを使い、キャラクター化された身近な菌を捕まえることに興じる3人。なぜか華子の下敷きに大量に生息する大腸菌に若干引きつつも、最終的に「オリヴィアの脇の下」に大量の菌が生息しているという驚愕の事実をもって、幕を閉じる。ここでもまた、オリヴィアの脇ネタが炸裂するのだ。
本作は基本的に1話完結のカタチをとっている。しかし、細かく散りばめられたネタと設定の蓄積があると、さらに楽しむことができるだろう。1~3巻までイッキ読み必至だ。美少女×お遊戯コメディの破壊力、一度身をもって体感してもらいたい。
文=五十嵐 大