それ違法PTAじゃない? PTAを改革して、ラクにたのしくする方法

出産・子育て

公開日:2017/3/18

『PTAをけっこうラクにたのしくする本』(大塚玲子/太郎次郎社エディタス)

「PTAはみんな入らなくてはいけない!」そう思っていませんか? 結論からいうと、PTAは任意団体であり、入会したくなければ入会しなくても大丈夫です。PTA参加を義務付ける法的根拠はありません。しかし、PTAが任意加入であることが周知されていないことで、任意参加ではなく強制参加だと思っている人が多いのが現状です。だから、学校や幼稚園に入ればPTAへ自動的に加入、加入しなければ嫌がらせを受けるなど、場合によって脅迫や恐喝にあたる違法行為をしている「違法PTA問題」が起こっています。

 時代が変わり、共働きの家庭も増え、PTAのあり方が改めて注目されている昨今。PTAに強制加入させる違法PTAにも切りこみ、負担の大きい、マイナスイメージが強いそんなPTAのやり方を改革し、楽しくやる方法を提案している一冊の本があります。「これまでやってきたから……」「保護者の義務だから仕方ない」そんな思いをばっさり断ち切り、みんなが求めるラクなPTAをつくりたい人たちの実用書として支持されている『PTAをけっこうラクにたのしくする本』(大塚玲子/太郎次郎社エディタス)です。

 本書はPTA活動の疑問や問題について、PTAの会長や役員経験者、保護者だけでなく教師から聞いた意見や経験がまとめられていて、多方面からPTAについて考えることができます。これまで通りじゃなくて今にあったやり方がある、憂鬱な役員決めをスムーズに、会計や書記など個々の活動のくふうなど、ラクにPTAをするコツやヒントが続々登場。知っているようで意外と知らないPTAの一面も見えてきます。

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 PTAをラクにやっていくにはそれぞれのPTAでPTAというものを見直し、考えていく必要があります。PTAの任意加入の周知も大事なポイントだと著者はいいます。任意加入になると加入者が減って、PTAが存続できなくなってしまうこともあるでしょう。PTAに賛同者がいないということで、それも仕方ないのかもしれません。しかし、本書では保護者が任意で参加するカタチに変えても加入率がそんなに変わらなかったPTAが紹介されています。それは以前、NHKの報道番組「あさイチ」でも取り上げられたことがある岡山西小PTAです。著者が「世の中には、こんなPTAもあるのか!」と衝撃を受けたPTAで、岡山西小PTAは加入方法をはじめ、これまでのやり方を見直したことでPTAを活性化させたそうです。任意加入にすることでやらされてる感をなくし、子どものためにと自分から前向きにPTA参加ができるようになったのでしょう。

 また、本書では法律からみたPTAについても取り上げ、「違法PTA」にも切りこんでいます。著者の大塚玲子さんは憲法学者の木村草太さんに、強制加入、非会員への子どもたちへの対応などPTAの問題点を聞いています。非会員の子はPTA行事に参加できない、そのことについて木村さんは「はっきりアウト!」と答えています。なぜなら、PTAは会員の子どものためのサービスではなく、その学校に通う子どもの保護者が、学校の子どもたちみんなのために行う団体だから。もし、学校全体ではなく会員の子どもだけに限定したサービスをするのであれば、学校はそもそも協力する理由がなく、学校内で活動は不適切な利用となるのです。

 PTAという組織は地域によって学校によって、活動もあり方もさまざまです。違法で楽しくないPTAもあれば、ラクに楽しくやっているPTAもあります。PTAを頑張るほど、子どもとの時間が削られ、保護者や教師に多大な負担を強いるようでは、PTAの本来の目的である「子どものため」からズレているように感じます。もし、PTAが辛い、大変だと思うときは本書を読んでPTAというものを見つめ直してほしいです。「楽しいからやろう!」そういえるPTAに変えるための参考書としてオススメの一冊です。

文=なつめ