『108年の幸せな孤独　キューバ最後の日本人移民、島津三一郎』
中野健太(著)／（1,700円税別）

　１９２８年20歳で農業移民としてキューバに渡った島津氏は、成功者として帰国する日を夢見て懸命に働いた。その後、再び日本の土を踏むことなく２０１６年逝去された。著者はご本人へのインタビューや現地の人々、日系人やその子孫、氏の故郷新潟などで取材し、島津氏の生涯と日本人移民の足跡、キューバの近現代史を浮き彫りに。第二次大戦中の強制収容、米国にも輸出された大きく甘いスイカ、キューバ革命、経済制裁。幾度もゼロから出発した氏は、百歳を超えてなお「生きろ！」と自身を鼓舞していた。

　今回は生き抜くことの尊さが胸に迫るオーラ本と出合った。