やけ酒はかえって嫌な記憶を呼び覚ます!?
公開日:2017/3/25
元気が出ないとき、あなたはどうしますか? ストレスがかかりやすい現代社会でうまくストレスを解消する方法を知りたいと思っている人も多いはず! 『科学的に元気になる方法集めました』(堀田秀吾/文響社)は、受けるストレスを最小限に「元気になれるアクション」を、科学的に紹介しています。背筋を伸ばすとストレスホルモンが減少する、やけ酒は嫌な記憶を強めるのでストレス解消にはむかないなど、ハーバード大学やNASA、東京大学といった世界中の研究機関で「効果あり!」と発表された科学論文をもとにしたストレス打破のノウハウを少しだけご紹介します。
別に楽しいことがないときでも「フェイク・スマイル」で笑顔をつくるとストレスが軽減されて気分がよくなる――クラフト、プレスマンらの研究
まず習慣にしてみてほしい元気スイッチは、やはり笑顔! クラフトとプレスマンという心理学者は、被験者に箸を口にくわえた状態で作業させ、ストレスの度合いを計測する実験を行いました。笑顔にならないくわえ方、口角だけが上がるくわえ方など、被験者にいろいろなくわえ方をさせて実験した結果、笑顔のようになるくわえ方をした被験者たちが感じているストレスがもっとも低かったそうです。つまり、つくり笑顔=フェイク・スマイルだとしても、人は楽しくなるし、幸せな気持ちになるのです。
手足の動きは、表情よりもさらに優位に感情を動かす=楽しい動きをすると、楽しくなってくる――エルサレム・ヘブライ大学アヴィーゼールらの研究
エルサレム・ヘブライ大学アヴィーゼールらは、被験者に悲しい表情をしながらさまざまなポーズを取ってもらい、感情がどのように変化するかという実験を行いました。実験の結果は、被験者たちはさまざまなポーズを取っているうちに愉快になっていき、表情は楽しげなものになっていったそうです。つまり表情よりも身体の動きが心に与える影響は強く、「楽しそうな動き」は人を明るくすることがわかったのです。気持ちが沈んだときは、ガッツポーズをしてみたり、変なダンスを踊ったり、ア◯レちゃんになりきって「キーーーン」と言いながら走ると、自然とテンションが上がってくるというわけです。
やけ酒をすると、イヤな記憶、イヤな気持ちがより強く定着してしまう――東京大学大学院野村と松木の研究
嫌なことがあったら、酒を飲んで忘れる――やけ酒が習慣になっている人は要注意です。東京大学大学院薬学系研究科の野村・松木の研究で、ネズミに電気ショックを与え、アルコールを注射したらどうなるか調べた実験があります。実験の結果、アルコールを与えられたネズミは、電気ショックのことを忘れるどころか、かえってその恐怖を強め臆病になりました。酒は嫌なことを忘れるどころか、かえって嫌な記憶を強めてしまうことがわかったのです。アルコールを常習すると、嫌な記憶が消えにくくなるというアメリカ国立衛生研究所のホームズらの研究結果もありますから、飲む量はほどよくしてお酒と楽しく付き合っていきたいですね。
ずっと元気でたくましく生きていければいいですが、このストレスフルな現代社会ではなかなかそうもいきません。しかし、私たちには強い味方、科学の力があります。どうすれば元気になるのか科学的に、理論的にわかってきているのですから、それを利用しないともったいない! 本書で紹介されている、科学的に元気になるノウハウはすぐに実践できる簡単なものばかりです。元気じゃない人はもちろん、もっと元気が欲しい人にもオススメの一冊です。
文=なつめ