最近増えているイクメンブルー。憂鬱にならずに「パパを楽しむ」ためのコツ
公開日:2017/3/28
いつのころからか急激に「イクメン」がもてはやされるようになった。初めのころは珍しかったから「イクメンパパは貴重だ」とありがたがられていたが、気づけばイクメンなのが当然という雰囲気になってしまった。そのせいでイクメンブルーに陥るパパも増えているというのだから、少し軌道修正の必要があるだろう。そこで、『「パパは大変」が「面白い!」に変わる本』(安藤哲也ほか/扶桑社)を取り上げる。
ママの理想とパパの現実
パパたちにイクメンブルーに陥る人が増えたのにはわけがある。ママの立場としては、よそのパパが子育てに協力的だという話を耳にしたら「うちも同じようにしてほしい」と考えるのが当然かもしれない。しかし、それが現実としてできるかどうか、冷静に考えた方がいい場合もある。よそのパパと同じようにできなかったからという理由で、「パパとしての愛情が足りない」「自分にだけ子育てを押し付けて平気な顔をしている」と不満を言われ、子育てを楽しめなくなっているパパは多いのだ。パパなりに一生懸命やろうとしているのに、理想通りにはできないケースも少なくない。例えば、保育園の送り迎えをパパに任せようとした場合、パパは積極的に送り迎えをしたいと思っても、職場環境が許さない場合もある。急な発熱などでお迎えを頼まれた場合、ママでも職場を抜けて迎えに行くのは難しいことが多いのに、パパが迎えに行こうとすると「そんなことは奥さんに任せられないのか」とOKをもらえないことがまだまだ多いのだ。イクメンボスが育っていない現状を考えると、ママと職場の板挟みになっているパパが多そうだ。板挟み状態がずっと続くと、育児からどんどん逃げたくなってしまうのも無理はない。
ママが顕微鏡ならパパは望遠鏡の視点で
パパが子育てに参加するなら、ママの顔色をうかがいながらの場当たり的な手伝い方はよくない。パパにもママにも小さな不満が生まれやすいからだ。同じことを別の考え方でやると、相手のやり方を否定する結果になりやすい。相手を怒らせたくないという理由で自分の意見を抑えると、それはそれで不満が残ることになり、どちらもあまりプラスにならない。パパとママが育児を分担するなら、やることの数で分けるのではなく、視点の違いで分けた方が結果的にうまくいく。ママはどうしても子どもを間近で見る顕微鏡的な視点になりやすいため、パパも同じようにしてしまうと、トラブルが起こったときに対処できなくなってしまう。パパはママの精神的なケアも含めた望遠鏡的な視点で足りないところをフォローする形にするといい。とにかく、パパの育児はママと同じ形でないところに意味がある。
育児休暇を取るだけがイクメンではない!
育児休暇を取ってママと育児を分担することだけが子育ての参加ではない。子どもと一緒に打ち込む趣味を作って、その時間だけはママを育児から解放してあげるという育児参加の仕方もできる。普段はどうしても仕事が忙しくて早く帰れないという場合は、週に1日だけ早く帰る日を作って、その日は子どもと一緒にお風呂に入り、ママが1人でゆっくりお風呂に入れるようにしてあげるという参加の仕方もできる。ママがパパの職場での立場を理解できていないのであれば、ただ「忙しくて無理」というのではなく、わかるように説明することから始める必要がある。基本の部分で面倒くさがってしまうと、うまくいかなくなるから、そこはきちんと説明するようにしよう。ママの希望を聞いたうえで、自分がどこまでできるかを正直に話してみることが大事だ。無理なくできることを提案すれば、お互いに不満が生まれにくくなるはずだ。パパの子育ては、やり方を間違えると苦痛になってしまうが、捉え方を変えれば期間限定の楽しみにもできる。この本は、パパが自分自身の生活を見失うことなく子育てに参加できるヒントが満載されている。これを参考にして、世間のイメージにとらわれず、自分なりのイクメンを目指してみるといいだろう。
文=大石みずき