同棲・結婚したら、家事の分担はどうする? “皿洗い”から見えてくる、男女の違い
公開日:2017/3/29
男女平等が叫ばれる昨今、家庭内での家事分担は夫婦にとって重大な問題といえよう。特に、共働きの夫婦なら、家事の負担は平等でありたいと思うのは当然のこと。しかし、どこの家庭でもついついもめてしまうのが、現実だ……。
そんな男女平等に悩める夫婦にオススメしたいのが、作家 山内マリコさんが書いたエッセイ『皿洗いするの、どっち? 目指せ、家庭内男女平等!』(マガジンハウス)。本書は、山内さんが彼氏と同棲をはじめて、結婚に至るまでの日々を書いたエッセイだ。男女の違いにまつわるエピソードが、軽いタッチで書かれており、同棲や結婚で男性と一緒に住んでいる、もしくは、これから一緒に住むという女性には、ぜひ読んでもらいたい内容となっている。
掲載されているのは、タイトルにもなっている皿洗い問題からはじまり、料理や、掃除などの家事分担のエピソードの他、同棲した途端オナラをはじめた! 物件探しに協力してくれない! ゴミ出しに一緒に出ることがデートだと思っている! など、思わずくすっと笑ってしまものばかり。しかし、単に笑えるだけでなく女性が読むと、自分の心を代弁してくれているような気分になってくる。
例えば、皿洗いについてのエピソードはこうだ。
同棲前の山内さんと彼は、ルンバや食洗機など最新家電を買って、家事の負担を取り除こうと考えていた。しかし、2人の住んだ家は狭く、ルンバの活躍スペースや、食洗機を置くスペースもなかった。そこで起こるのが皿洗い問題!
山内さんと彼は、共働きのうえに、家賃や生活費を折半している。それならば、家事も半分ずつ。と山内さんは思っているが、彼の家事稼働率は5割に満たない日々が続いていた。
汚れた食器は次第に山積みになっていく。食洗機を導入していないのだから、本来ならば、お互いに半分ずつ洗えばいい。または、普段家事をあまりしない彼が洗えばいい。しかし、山内さんの思考はそっちへ向かない。
流しに汚れた皿が山積みになっていると、「ほんとうにウチの彼氏はダメだな」とは思わず、「マリコったら、ダメな女!」と、軽い罪悪感が頭をもたげるのです。この汚れた皿を洗わなきゃいけないのは自分だと思ってしまうのです。いつの間にか刷り込まれた、「家事は女がやるもの」という内圧にほかなりません。そうして渋々、本当に渋々、渋々というか嫌々、わたしは食器洗いスポンジを握るのであった……。
この気持ちわかる! という女性は多いのではないだろうか? 男性が積極的にやってくれればいいが、そうでなかった場合、最終的には女性がやってしまうというのは家事に限らず、男女の間でよくあることだ。「いつも私ばっかり!」と、ついつい怒鳴り声を出してしまう女性も世の中にはたくさんいるだろう。
女性が読めば思わず「うんうん!」と頷いてしまうエピソードが満載の本書。
どれも共感できるものばかりで、「悩んでるのは、ウチだけじゃないんだ~」と安心しながら読むことができる。また、女性目線で書かれる本書だが、夫側の言い分も書かれているので、男性の気持ちも理解することができる。
「今日も言い争いをしてしまった……」「最近、ケンカばかり!」というセリフが出てしまう女性はぜひ手にとってほしい、男女の争いを減らす一冊だ。
文=舟崎泉美