オカダ・カズチカ「自分から格好よさを思い切り出しているのは、僕か棚橋(弘至)さんぐらいかなと(笑)」

あの人と本の話 and more

公開日:2017/6/6

毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある一冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、4月9日にビッグマッチを控える、新日本プロレスの超人気レスラー、オカダ・カズチカ選手。小説のおもしろさに目覚めさせてくれたという『陸王』の中に発見した、自身の愛用品とは……?

 4月9日に、新日本プロレスのビッグマッチ「SAKURA GENESIS 2017」を控え、トレーニングにも熱が入るオカダ選手。実は、練習中に愛用している靴が、『陸王』に登場しているのだという。地下足袋感覚のランニングシューズ「陸王」開発のきっかけになった、イタリア・ビブラム社の五本指シューズ「ファイブフィンガーズ」だ。
「読んでいて、『あ、これ自分がランニングの時に履いているヤツだ!』と。おかげで、より物語に入り込めました。シューズって機能も大事ですが、見た目の格好よさも大事なんですよ。誰かに見られた時に『オカダ、ダサい靴履いて練習してるな』って思われたくないじゃないですか(笑)」
『陸王』と出会うまでは、マンガとビジネス書を中心に読んでいたというオカダさんが最近読んだビジネス書は『一流の品格をつくる ホテルオークラの流儀』
「しっかりした大人とはどういうものなのかを学ぼうかなと。チャンピオンとして、あまりふざけたことばかりしてはいられないので(笑)」
 最近オカダ選手は、こんなふうに新日本プロレスを、プロレス界を背負う「覚悟」をよく口にする。
「チャレンジャーにとってはその1回を精いっぱいやるだけですが、僕は毎月のようにベルトの防衛戦をして、勝っていかなければいけない。でも最近は、『チャンピオンはやっぱりすごいな』って思ってもらえる戦いができているなとは思いますね。2回連続で40分超えの試合が続いたりして体力的にはきついですが、充実感につながっています」
 ひとたびリングに立てば、試合内容はもとよりその立ち居振る舞い、マイクアピールの言葉など、文字通り丸裸になり、すべてが観客の目にさらされる。喜びを感じると同時に、プレッシャーや恐怖を感じたりはしないのだろうか。
「僕はあんまり怖いと思ったことはないですね。むしろ『もっと見てくれ!』とか『格好いいだろ?』くらいの感じでいます(笑)。じゃないと、格好よさって出ないと思うんですよ。まあプロレスラー全員が『格好いいだろ?』と思っていたらおもしろくないですし、今、本当にいろんな色のレスラーがいますからね。自分から格好よさを思い切り出しているのは、僕か棚橋(弘至)さんぐらいかなと(笑)。ただ10年後になったら、僕もまた違う色になっているかもしれない。黒パンを履いていた若手の時から、コスチュームを着るようになって、チャンピオンになって、おじさんになって……。プロレスラーは、お客さんに人生を観てもらっているんだなあと思います」

(取材・文=門倉紫麻 写真=干川 修)

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オカダ・カズチカ

おかだ・かずちか●1987年生まれ、愛知県出身。191cm、107kg。2003年15歳で闘龍門に入門、翌年デビュー。07年新日本プロレス移籍。12年IWGPヘビー級王座について以降死闘を繰り広げ、16年6月からはその座を守り続けている。得意技は「レインメーカー」。「最近読んだ『舟を編む』もおもしろかったです!」(オカダ選手)。

 

『陸王』書影

紙『陸王』

池井戸 潤 集英社 1700円(税別)

資金繰りに頭を悩ませていた、百年続く老舗足袋業者・こはぜ屋の四代目社長・宮沢は、地下足袋の技術を生かしたランニングシューズの開発を思い立つ──。従業員わずか20名の会社が、幾度も困難を乗り越えていく姿に胸が熱くなる。ビジネスものとしてだけでなく、スポーツものとしても。10月に実写ドラマ化予定。

※オカダ・カズチカさんの本にまつわる詳しいエピソードはダ・ヴィンチ5月号の巻頭記事『あの人と本の話』を要チェック!

 

戦国炎舞-KIZNA- Presents SAKURA GENESIS 2017

日時:2017年4月9日14:30開場 16:00開始 場所:両国国技館
「春の両国」と呼ばれる、新日本プロレスのビッグマッチの一つが今年も開催。3月に開催されたNEW JAPAN CUP優勝者が、IWGPヘビー級、IWGPインターコンチネンタルなど各チャンピオンの中から対戦相手を指名、ベルトを懸けた戦いが行われる。優勝者の柴田勝頼はオカダの持つIWGPヘビー級王座に挑戦表明。見逃せない一戦に!