「私なんて」と思いがち。コミュ障。他人の言動に腹が立つ……すべての原因は「自己肯定感の低さ」にあった!
更新日:2017/5/8
先日ネットで「がんばれ!」「もっとできる!」と声をかけてくる人は別にポジティブじゃない、というような意見を見かけて、たしかに……と納得させられました。落ち込んでいるときにそんなことを言われても、「頑張れない自分がだめ」とよけいに沈むか、「うるせー!!」とキレるか、たぶんどっちか。でもじゃあどうしても消えない「自分なんか」って気持ちはどう解消したらいいの? というときに読みたいのが『自己肯定感、持ってますか? あなたの世界をガラリと変える、たったひとつの方法』(水島広子/大和出版)。『女子の人間関係』で話題を集めた精神科医による最新作です。
すぐ「私なんて」と思う。ついつい頑張りすぎてしまう。他人に振り回されがちだし、そのくせ人と仲良くなれない。どころかなぜか、嫌われてしまうことが多い。他人の言動にやたらと腹が立つ。
これ、本書によると、すべて自己肯定感の低い人の特徴だそうです。先日バラエティ番組(『しくじり先生』)で女優のソニンさんが「コンプレックスが強すぎた結果、期待にこたえようと全力になりすぎて、指示がなければ何もできない指示待ち人間になってしまった」という話をしていました。しかもその他人に文句を言わない姿勢が、結果として「指示をエスカレートさせてしまった」と。個人的にはソニンさんがしくじっていたとは思いませんが、これも自己肯定感の低さから生まれる負のスパイラルの一つ、だったのかもしれません。
本書では自己肯定感の低さが招きがちな弊害について語ったあと、ではどうすればいいのかを教えてくれるのですが、そのための一歩は「他人をリスペクトすること」だと著者の水島広子さんは言います。
えっ? そんなのまた「あの人はこんなにすごいのに」とかなっちゃわない?。
と思いがちですが、実は他人を正しくリスペクトするのは、自分を大事にすることと非常に密接につながっているのだそう。ただし、「○○ができるからすごい」という条件付きのリスペクトではなく、むしろその逆。「○○ができるから」というのは、すなわち他人を評価すること。それだと、能力のない人は永遠にリスペクトできなくなってしまう。そうではなく、自分が相対しているその人のことを、ちゃんと、「尊重する」。「何もできないくせにへらへらしやがって」ではなく、「あの人、なんかいつでも笑ってるな」とか、相手にも相手の事情があるのだときちんと受け入れる。相手に優しくなれれば相手も自分に優しくなるし、そうすればもっと相手に対してリスペクトできるようになっていく。それと同じで、自分のことも、突出したいいところが見つからなくても、大事にしてあげることができるようになるのです。
他人をジャッジするから、自分も同じ目でジャッジしてしまう。ありのままを受け入れましょう……と著者は言うのですが、もちろんそれも「なんでもかんでもそのままでOK!」ということではありません。開き直るのと、そのままの自分/相手を大事にするのとはまるで違いますからね。そうはいってもやっぱりあいつむかつくしなんにも尊敬できないんですけど! 自分にもいいところひとつも見つからないんですけど! ……という人はぜひ本書を読んでみてください。そういう人のためにこそ、読むべきヒントがいっぱいです。
以前別の記事にも書きましたが、自己肯定感は他人から一瞬で砕かれるのに、とりもどすには自分でどうにかするしかなくて、しかも何十倍もの時間がかかったりする。だけど誰でもとりもどすことは必ずできるし、他人に奪われないよう防御することもできるはず。本書はそのための方法が隅々に散らばっている良書なのです。
文=立花もも