「対人力」をあげて苦手な人づきあいを楽にする、ちょっとしたコツとは?
公開日:2017/4/6
桜の花が美しいこの時期、4月からの新生活の準備をすすめている方もいるだろう。環境の変化が集中するタイミングには、新しい出会いも多いもの。単純にワクワク…でもちょっと不安? 実際、コミュニケーションや人間関係に悩みを持つ方は多く、「コミュ力」とか「コミュ障」という言葉が盛んに使われるのも、それだけ多くの方が気にしているからなのだろう。
そんな悩み多き「人間関係」の解決策に、本からヒントを得るというのは、いってみれば王道。心理カウンセラーの植西 聰氏の『対人力のコツ 人間関係が楽になる94の知恵』(自由国民社)も、そんな悩みの応援団になってくれそうだ。
「人づきあいが上手というのは、その人の能力」という植西氏。「人づきあい」には単にコミュニケーションを円滑にするコツだけが大事なのではなく、交渉力やリーダーシップといった相手に働きかける力や、自分の意志を伝える力、あるいは打たれ強さや感情的にならない自己コントロール力など、さまざまな力が必要となる。確かに「コミュ力が高い」といくら言われたところで、単なるお調子者では問題だろう。友達でも同僚でも「よりよい関係」を築くためには、自分を伝え、相手を理解するという連環がなければ、ただの上っ面で終わってしまうし、時にはタフな状況にも耐えうる精神力も必要。本書ではそうした「人と向き合う力」を総合して「対人力」と名付け、その力をアップさせるための94のヒントを、先人たちの残した言葉と共に紹介している。
たとえば、自分の話を一方的にしたのでは相手がうんざりしてしまうのは容易に想像がつくこと。「言うべき時を知る人は、黙る時を知る」(アルキメデス)、「自然は人間に一枚の舌と、二つの耳を与えた。だから人間は、自分が話すことの二倍だけ、人の話を聞かなければならない」(ゼノン)と遥かギリシア時代の先人も語っているように、まずは「相手の話を聞く」ことが対人力をあげるための最もベーシックなコツだと本書は説く。
ただし、ただ聞けばいいというわけではない。「相手の話を聞く=相手を受け入れる」ということでもあるわけで、「好意的な態度」や「話の内容にあった表情、受け答え」など、ちょっとしたポイントに気を配れば、さらに印象がアップし、円滑な人間関係につながることが多いという。
また、相手に反対の意見を述べる時や悪い点を指摘する時にも、相手に賛同できる点は評価しながら意見を述べたり、意識して相手を立てたりといったように、やはり相手を受け入れた上で意見を伝えることで、言葉の引き起こすショックを和らげ、人間関係の悪化を避けることができるとのこと。
とはいえ、こちらがいくら相手を受け入れようと思っても、相手から一方的に攻撃的な態度をとられることもある。そんな時には「怒らないための方法=アンガー・コントロール」を。最近、精神医学や心理学でも注目のテーマだが、本書でも「その場を離れる」「自然にまかせて放置する」など対処法が示されているので参考にしたい。
オードリー・ヘップバーンは「美しい目であるためには、相手の美点を探すことが大切だ」と言ったというが、確かに相手のいいところに焦点を当てるポジティブな好奇心を持って人と接すれば、オードリーのような美しい瞳で相手を魅了することができるのかも。
素敵な出会いの季節となるように、この本で心の準備もしておきたい。
文=荒井理恵