【ダ・ヴィンチ2017年5月号】Cover Modelは、星野源さん!
公開日:2017/4/7
Cover Model 星野 源
本誌2014年12月号より連載中のエッセイ
『いのちの車窓から』が、ついに単行本化された。
昨年末の大ブレイクに至る2年間のドキュメントでありながら、
“星野源その人”を感じることができる、特別な輝きを放つ一冊だ。
言葉に残しておきたかった
感じてもらうしかなかった
advertisement「この連載は書いていて気持ちよかったり、楽しかったりすることが多いんです。前まではしんどいなって感じる時がほとんどだったし、エッセイを本にするために原稿を読み返すと、つまらないなって全部書き直しちゃうことも多かった。たぶん、狙って書いてるからつまらないってことだと思うんですね。無理やりここでテンションを上げて、ここでギャグを挟んで笑いを取ろうとして、と。エゴが丸見えで、〝どうしてもっと普通に書かないんだろう?〟って自分で自分にあきれていた。その反省を忘れて、元に戻る日々だったんですが(笑)。『いのちの車窓から』を本にするために原稿を読み返した時も、今回はどうかなぁとびくびくしていたら、それがぜんぜんなくて。書き直しもほとんどなかった。それって今回は、狙って書いているところがないからだと思うんです」
そうやって紡がれた言葉は、不思議なことに、これまで以上に「星野源らしい」。今こうして話してくれている星野の雰囲気にぴったりで、クールで、哲学的で、愛がいっぱいあって……。そう告げると、「これが自分の普通なんだなっていう感じはちょっとします。そういう文章を、やっと発見できたのかなって」。
■そんな星野源さんの選んだ一冊は……
『王とサーカス』
米澤穂信 東京創元社 1700円(税別)
2001年6月、新聞社を辞めたばかりの28歳の太刀洗万智は、ネパールのカトマンズにいた。雑誌編集者の依頼を受け海外旅行の記事を書くためだったが、王宮で国王をはじめとする王族殺害事件が勃発し、ジャーナリストとして取材を開始する。すると、背中に英語で「密告者」と刻みつけられた、新しい死体が目の前に現れる──。
「米澤さんの作品の中でも、太刀洗万智が出てくるシリーズが大好きです。『王とサーカス』はミステリーの謎解きの部分も面白いし、謎から生じてくる人間ドラマも濃厚なんですが、この作品では“文章を書くことと伝えること”というシリアスな問題を扱っています。僕も言葉に関わる職業だったりもするので、太刀洗万智が導き出す結論には感動しましたし、その誠実さにすごく惹かれました。“理想の女性は?”って聞かれたら、“太刀洗万智です”って答えたいくらいです(笑)。『真実の10メートル手前』という短編集もぜひ読んでほしい。とにかく、かっこいいんです!」(星野源 談)
取材・文=吉田大助