世界初、日本酒を“パーカーポイント”で採点! 「涙したくなるような味わい」と評され98点を獲得した新潟の銘酒とは?
公開日:2017/4/7
日本酒が世界中で人気を集めている。海外では「Sake」と呼ばれ、高級レストランでワインリストに掲載されている銘柄もあり、アメリカやアジア諸国、そして近年はヨーロッパや中東などでも注目されているそうだが、その証左とも言える本が出版された。ワイン好きなら知らない人がいないであろう「パーカーポイント」が世界で初めて日本酒を採点、その中で高得点を記録した銘酒78本が掲載された『ロバート・パーカー・ワイン・アドヴォケートが認めた 世界が憧れる日本酒78』(SAKE RATINGS PROJECT/CCCメディアハウス)だ。
パーカーポイントは世界屈指の影響力を持つワイン評論家ロバート・M・パーカーJr.氏が、1978年の夏に創刊した『ワイン・アドヴォケート』(当初は『ボルティモア/ワシントン・ワイン・アドヴォケート』というニュースレターだった)から始まった。この雑誌は一切の広告を掲載せず、中立の立場を貫いており、ワインの産地や知名度、価格などにとらわれず、シンプルに「美味しいか、美味しくないか」を基準に評価されている。高いポイントを得た銘柄は話題となり、点数はワイン選びの基準として世界中の人が参考としている。なおパーカーポイントは以下のようにランクを決めている。
100~96点「Extraordinarily」(格別)
95~90点「Outstanding」(傑出)
89~80点「Above Average to Excellent」(かろうじて並以上から優良)
79~70点「Average」(並)
69~60点「Below Average」(並以下)
「本当によいワイン」とされる85点以上を獲得するワインは、世界中のワインのうちたった1%と言われていることからも、その評価基準がとても厳しいことがわかるだろう。この基準をもとに、今回日本酒で採点を担当したのは、ロバート・パーカー・ワイン・アドヴォケート社のワイン評論家マーティン・ハオ氏だ。ハオ氏は日本酒約800種をテイスティング、その中で90点以上のハイスコアを獲得した日本酒だけが本書で紹介されている。
本書では「北海道・東北」「関東・甲信越」「北陸・東海」「関西・中国」「四国・九州」の5つの産地エリアに分け、見開きでひとつの日本酒と蔵元を紹介している。左ページには日本酒の写真、名称、蔵元名、使用米、精米歩合、使用した酵母、日本酒度、酸度、アルコール度数、価格、そしてパーカーポイントとハオ氏のコメントがあり、右ページには蔵元を取材した記事と、蔵元の連絡先などが記載されている。
ちなみに今回最高得点を獲得したのは、新潟県長岡市にある久須美酒造「純米大吟醸酒 亀の翁 3年熟成」(720ml/4286円)だ。そのポイントはなんと98点。ハオ氏はこの酒に出会った感動を「口にした途端、歌いだしたくなるような、涙したくなるような味わい」とコメントしている。
また本書には78種の日本酒がまとめられたチェックリストも付属しているので、ポイントの高いものから順に味わうのもよし、ハオ氏のコメントから自分の好きな味わいを探して楽しむのもいいだろう。これまでの日本酒紹介本とは切り口がまったく違う、「パーカーポイント」という新たな魅力が詰まった本書。ただ酒飲みとしてひとつだけ心配なのは、今後日本酒が手に入りづらくなるかもしれないことだ。しかしそれは同時に嬉しいことでもある。これからも旨い酒を作り続け、日本のみならず、世界中の人々を魅了する味わいを追求してもらいたい。
文=成田全