「速読」も「完璧な理解」も必要ない! 読書習慣を身につけるためのカンタンな方法
公開日:2017/4/19
本を読むことに対して苦手意識を持つ人は多い。読書の大切さは理解していても、快適な読書習慣を身につけている人は少ないのではないか。
年間700冊以上本を読み、一日一冊以上レビューを書き続ける書評家・印南敦史氏の『世界一やさしい読書習慣定着メソッド』(大和書房)では、「読みたくなるコツ」「読み進めるコツ」「習慣づけるコツ」をやさしく解説している。読書について「熟読し、書かれていることのすべてを頭に叩きこまなくてはならない」だとか、「時間を効率的に使うため、速読しなければならない」という思い込みを持ってはいないだろうか。無意識に「きちんと読まなきゃ」という謎の義務感に押しつぶされそうになったことはないか。
しかし、印南氏によれば、読書に「こう読まなくてはならない」という絶対的なルールは存在しない。必要なのは、「自分らしい」読書スタイル。毎日10~20分だけで良い。「朝食後、コーヒーを飲み終えるまでの10分間」とか「通勤電車内の20分間」とか、一日のなかのどこかに「読書のための時間」を具体的に組み込んでみよう。
本と向き合うと、どうしても「書かれている内容をすべて理解しなくはならない」と思いがちだが、100%を吸収することは誰にとっても不可能だ。それよりも、自分にとって価値のあるものを探す「1%リーディング」を目指すようにしよう。印南氏は本書の中で、「フリー・スクラッピング」というメソッドを紹介している。「1日に読んだ本」のなかから、印象的だったフレーズ、表現、描写、台詞など、その本から得た断片を落書きのように自由に書き溜めてみる。文章でもフレーズでも、あるいは文章からインスパイアされたイラストやマンガでもなんでも、その一日分のスペースのなかに、自由にスクラップしてしまう。そうやってアウトプットしていくと、自分の内面が現れ、不思議と本で読んだことが身につく感覚が得られる。
しかし、“どうしても読めない本”に出会うことも少なくはないだろう。ここで知っておくべきなのは、「読めない」ということは誰にでもよくあることだということ。読み進められないのは単にその本と「相性が悪い」からだ。どうしてもしっくりこない本は、スパッと割り切り、別の本に手を出してしまおう。本当に縁のある本とはまたどこかのタイミングで再会できる。本と向き合うのは、それくらい気楽なもので良いはずなのだ。
この本を開くと、自分が読書という行為に対して「完璧な理解」と「速さ」を目指していたことに気づかされる。そんな義務感は捨てて、自らの「読みたい」という欲求をワガママに満たしてしまえば良い。読書は自分のためだけのもの。この本を読めば、読書を習慣づけるハードルはとても低くなる。何かを始めたくなる春、印南氏のメソッドをもと に、自分だけの読書習慣を身につけてみてはいかがだろうか。
文=アサトーミナミ