喋る多肉植物たちが、ダメ主人公を育成する――多肉植物専門店「PAPAS」の、ちょっと変わった日常
公開日:2017/4/22
ぷにぷにした、思わず触りたくなるような葉を持つ「多肉植物」。本来植物の育ちにくい厳しい環境に生息している多肉植物は、育てやすさも相まって、近年人気を高めている。最近は100円ショップでも売られており、観葉植物として家に置いている人も多い。
だが、多肉植物についてよく知らずに世話していると、水のあげすぎ等で枯らしてしまうというケースもある。連載型新作マンガ配信サービス「GANMA!」にて連載中『タニクちゃん』(よねまる/祥伝社)の主人公・花田章も、そんな人間の1人だ。ある日突然、多肉植物専門の花屋「PAPAS」を経営する母親が世界一周旅行に出てしまい、店番をすることになった花田。彼は何の知識もない上、初日から「とにかく水あげときゃいいんだろ」とやる気ゼロ。そんな花田に不安を感じた多肉植物たちは、リーダー的存在のエケベリアを中心に「タニク会議」を開き、「お花の妖精さん」に彼を手助けできるよう魔法をかけてもらった。
そんなこととは知らない花田は、翌日早速水やりを開始……したのだが、エケベリアに「こんなに水いらないっつの」と水を吐き出され、びしょぬれになってしまう。ここからタニクたちによる、彼の“タニク教育”始まったのだった――。
多肉植物が感情を持ち、喋り、動くというかなりシュールなこの漫画には、エケベリアの他にもセダムやコノフィツム、リトープスなど様々なタニク的キャラクターたちが登場する。中でもセダムは、花田に初めて水をもらった日から彼に恋している、花言葉の通り乙女な性格。ツンデレだが隠すのが下手で、彼と何かある度に興奮し、「フラワァァァァ」という擬音とともに頭に花を咲かせる可愛い奴だ。実は実際のセダムも初心者向けで扱いやすく、育てやすいことで有名な多肉植物。それもあって、彼女は“チョロイン”ポジションになったのかもしれない。
また、花田も最初こそ多肉植物に全く興味がなかったが、お店に週一で来る常連さん・望月早苗に一目惚れし、「僕も多肉植物に目がなくて」と言ってしまったことがきっかけで仕事を頑張るようになる。そしてエケベリアたちと会話し、いろいろと教えてもらいながら世話をしているうちに、少しずつではあるが店員としても人としても成長していく。
花田目線、そしてハイテンションでちょっとおかしなタニクたちの目線で描かれる本作品には、敵(?)キャラも登場する。例えば、望月が飼っているらしいヤギは、タニク達を食べようとする彼女たちの最大の敵。皆、週に一度訪れる「白い悪魔」と呼び、恐れている。そして花田のライバルは、店の向かいにある花屋「Fleuriste」の店長・葉山大吾郎。葉山も彼と同様、望月に惚れ、彼女を狙っているのだ。また、一般的な花と比べて派手さがない多肉植物を見下している節もある。
こんな、様々な人間やタニクたちの想いや気持ちが交差するこの『タニクちゃん』は、現在コミックスが3巻まで発売されている。物語が進むにつれて皆が「植物」を愛するようになり、その魅力を中心にコミュニティが広がっていくこの作品は、植物が人に与える「心のゆとり」や「癒し」の効果を改めて教えてくれる作品でもある。筆者も実家を出て一人暮らしを始めてから家に植物は置いていなかったが、久々に植物を育て、愛でてみたいという気持ちになった。
文=月乃雫
【連載】多肉植物が妖精に?!ドタバタハートフルコメディ『タニクちゃん』第1回
【連載】多肉植物が妖精に?!ドタバタハートフルコメディ『タニクちゃん』第2回
【連載】多肉植物が妖精に?!ドタバタハートフルコメディ『タニクちゃん』第3回
【連載】多肉植物が妖精に?!ドタバタハートフルコメディ『タニクちゃん』第4回
【連載】多肉植物が妖精に?!ドタバタハートフルコメディ『タニクちゃん』第5回
■インタビュー
「夜な夜なひとりでビール片手に多肉植物に話しかけてます」 お笑い芸人・ハザマ陽平×『タニクちゃん』よねまる【前編】
植物好きの人に悪い人はいない!? お笑い芸人・ハザマ陽平×『タニクちゃん』よねまる【後編】
【ぜんぶ無料マンガ】GANMA!オリジナル漫画ゾクゾク!
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