『Oggi』超人気コラム! 今話題の知的ゲイによる、女友達でも絶対に言わない”愛のダメ出し”
更新日:2017/4/25
『恋愛がらみ。』(小学館)の著者・高山真氏は、マツコ・デラックスやミッツ・マングローブとも旧知の間柄というゲイ。東京外国語大学卒業、出版社勤務を経てフリーの編集者となり、現在、肝臓ガン治療を続けながらエッセイストとして活躍中だ。
『恋愛がらみ。』は、ファッション誌『Oggi』の超人気の悩み相談コラム「マナー美人の心意気」をベースにした1冊である。
「オトコにも人生にも不器用な女子たち」から多数寄せられる相談。それらに対して高山氏は「このお悩みは私にはあまり関係ないかも」と思う読者にも読んでもらえるように、「ひとつふたつでいいから、刺さるフレーズ、ご自身の状況に照らし合わせて考えてもらうフレーズを必ず入れる」ということを心がけてきたという。
では本書に収録された具体的な相談内容と高山氏の回答をいくつか紹介しよう。
■学生時代の彼と年上の彼、どっちを選ぶべき?
「もらえるものだけでオトコを選ぶのは、そろそろ卒業しない?」の項。お悩みは「ラクだけど物足りない学生時代からの彼と、ちょっと背伸びして付き合っている年上の彼と、どっちを選んだらよいか迷っている。私は何を指針に結論を出せばいいの?(22歳・メーカー勤務)」というもの。
高山氏は「オトコを選ぶ指針の問題ではなく、この悩みから私という人間が、人に何かを与えられるようになるには、どうすべきかという視点から、人間関係を考えるきっかけになったら素敵。男性に対しても自分自身に対しても、もっと真剣に欲張りに可能性を見つけてみましょう」と答える。
そして最後に「ちょっと意地悪になるわね。受け取るばかりじゃ先がないわ。あなたは彼らに何を与えられるの?」と愛のダメ出しをする。
■夫が交通事故で亡くなった友人に対して
「できることは限られる。そう知ることが大人の第一歩なのよ」の項。夫が交通事故で亡くなって悲しみに沈む人をどうなぐさめたらよいかわからないという28歳のSEのお悩みに、「悲しみは理解しないでいい。ともに悲しむだけ。悲しいけれど、それだけよ」と答える。恋人との突然の死に別れを経験したことのある高山氏。「ある程度長く生きてきたのであれば、どんなに明るい人であっても、心の奥底に、風化しきれない悲しみの記憶が眠っていると思うから、そのことを肌で知ったうえで人と付き合っていくこと。大人のマナーはほろ苦いものだけど、その醍醐味は大人にならないとわからない」と書いている。
■妻子ある彼がマンション購入を勧めてきます
「週に3~4回会っている妻子ある年下の彼が、私にマンション購入をすすめてくる。毎月のローンを半額払うというが借金するのは私。関係を前向きに考えていると言われているのですが…(32歳、テレビ局勤務)」というお悩みには、「彼への疑問符をつけたうえで“あなたが今いだいている違和感に目をつぶる必要はない”“ラブとマネーのルールは明快”後悔しないと決めたものだけ自己責任で使うべきだわ」という。
「アタシがこの本で、みなさんに伝えられることの大きさ、重さなど、たいしたことはない。そんなことはじめからわかっています。アタシだって自分の力量をよく知っていますから」という高山氏。「つたなくても、みっともなくても自分の行きたい道を進む」ために18歳で父親と対決しド田舎から東京へ出てきたという。
小学校低学年でゲイを自覚し、14歳で母親を肝臓ガンで亡くし、恋愛で傷つけ傷つけられ…。その人生経験から紡ぎだされた回答は、悩みの根底にある自分の心の在り方と向き合うことを促し、人としてどうあることが大切なのかを教えてくれる。
「読者と自分は不器用出身の同志」という高山氏の深い愛情と優しさに包まれて思わず涙がポロリ。気軽に読めるエッセイながらも、刺さるフレーズ満載の重厚感のある1冊だ。
文=泉 ゆりこ