キーワードは“お風呂の栓”! 元海上保安庁の女性による「本当に大切なもの」を忘れずに仕事の成果を上げる方法
公開日:2017/4/26
「上司と合わず、会社に行くのが辛い」
「仕事をしていても楽しくないし、やる気が出ない。自分にはこの仕事は向いていない気がする」
女子には、仕事以上に大切なものがたくさんある。だから働いていれば、そんな思いが頭をよぎることはしょっちゅうだ。もちろん、本当に嫌なら投げ出すのも選択の一つ。でも、もし今の仕事をラクに楽しむ方法があったら、どうだろうか。
そんな方法あるはずがない、と思った人に読んでほしいのが、『女子の働き方』(永田潤子/文響社)だ。著者の永田潤子さんは、なんと元海上保安官。さらに26歳の時には最年少で船長を務めるなど、男社会の中でパイオニアとしての役割を果たしてきた。
自身の経験を踏まえ、「がんばっている女性の力になりたい」と書かれた本書は、Q&A方式で進んでいく。どれも日々の仕事で浮かぶ等身大の疑問ばかりで、今まさに働き方に悩んでいる女子は背中を押されるはずだ。
本書の中で繰り返し推奨されているのが、「自分中心」の考え方。「自分中心」とは、自己中心的という意味ではなく、自分を起点として周りを見るということ。尽きない人間関係の悩みも、自分中心で考えれば「同僚=私の仕事を一緒に楽しんでくれる仲間」「上司や先輩=私がいい仕事をするために協力してくれるメンバー」と捉えることができ、関係が円滑に進むのだという。
たとえば、「“やらされ感”なく仕事をするには、どうしたらいいですか?」という問いに対して、著者の回答は「自分のやりたいこと、ありたい姿を描くところから始める」というもの。成果や周りの評価はいったんおいておき、「自分が何をしたいか」を考えて、その思いを大切にしながら仕事をする。そうすることで主体的に働くことができるようになり、結果的に成果が手に入るのだという。
また、「いつも何かに悩んでいるような気がします。どうしたらいいですか?」という質問には、「いちばん大事なコミュニケーション相手は、実は『自分自身』です」と回答。仕事でうまくいかないことがあると、多くの人は自分の外に原因を求めがち。でも、実は大切なのは「どうしてそう思うのか」を自分自身と向き合って、心の環境整備をすることだという。自分のご機嫌を自分で取ることで、モヤモヤをコントロールできるのだ。
面白いのは、著者が考えた「お風呂の栓」理論。「仕事はやりがいもあるし、がんばっています。でも、なんだか物足りない感じがするときがあるんです……」という相談への回答は、「なんとなくの物足りなさは『お風呂の栓』が抜けているサイン」というものだ。「お風呂の栓」とは、その人が思う「人生で一番大切にしたいこと」。どんなに仕事が充実していても、お風呂の栓がしっかり閉まっていなければ幸福感はどんどん漏れていってしまう。プライベートが充実していないと良い仕事をするのは難しい、ということをうまく表している。
「自分中心」に、ラクに楽しく働くというイメージが少しつかめただろうか。個人的に著者のアドバイスで参考にしたいのは、「自分のテーマ曲を決めること」。緊張する場面などで、頭の中で音楽を流して気持ちを盛り上げるのだという。思わず笑ってしまう曲をチョイスすれば、苦手な上司の小言も笑顔でかわせそうだ。
文=佐藤結衣