“社内の評価が低い”リーダーの共通点は? 上司の男に「ハズレくじ」と言われた女が、職場で本当に女性を活躍させる方法を説く!
更新日:2017/5/15
「一億総活躍社会」のスローガンのもと、「女性活躍」が叫ばれている。だが、2015年の帝国データバンクの調査によると、女性社長は全社長数のうちたった7.51%。「女性活躍推進法」が施行されて1年ほど経つが、目に見えるほどの効果が出るのはまだ先だろう。
そんななか、「女性の傾向を知り、特性を受け止め、チーム力を120パーセント引き出す」ために書かれたのが、本書『女性の話を聴かない上司は仕事をだめにする』(前川由希子/ポプラ社)である。
著者の前川由希子氏は心理学・行動科学・哲学をベースに、企業研修やセミナーを全国展開する組織活性化コンサルタントだ。前川氏によれば、性別による傾向を理解していないために、男性と女性のコミュニケーションに大きな溝が生じ、誤解が誤解を生む悪循環に陥っている職場がたくさんあるという。
本書では「女性と男性のコミュニケーションの違いを押さえながら、具体的に結果の出るアプローチの方法」をしもといている。
「女性たちは“最強”のサポーターにも、“最恐”の敵にもなる」
日ごろたくさんのリーダーと接している前川氏によると「女性から支持される上司のもとには『あなたのためなら休みの日でもがんばって出勤します』という女性スタッフが集まる」という。
一方で、「ずば抜けて実力があるのに、社内の評価が低い」リーダーの共通点は「女性から支持されない」点だという。
本書のpart1では、いろいろな理由で女性から疎まれ、思うような成果があげられない上司の話を、その原因と解決方法とともに19話紹介している。
例えば、「みんなはどう思う?」と投げかけても、我慢できずに持論を展開してしまう男性経営者の「話を聴く話」など、コミュニケーションが原因で女性スタッフが上司を嫌いになり、その上司から頼まれる仕事まで嫌いになる仕組みを丁寧に解説している。
「働く女性部下の持っている可能性」を引き出す、「最強の上司」を目指せ
では、どうしたら女性に支持され、好かれるのか。本書のpart2では「男女間のギャップを解消する」方法を伝授してくれる。
例えば、失敗した男性には、あえて距離を取って一人にしてあげたほうがいいが、女性には、あえて近づいて、事態を共有することが重要だと、その理由とともにアドバイスしている。
ここでは紹介しきれないが、他にも「『守ってもらう』ことにプライドを感じる女性」『結論から先に言ってくれ』はNG」『感情的になるな!』は人格否定」や、「ほめるときは、ヨコ社会への配慮が必要」など、女性の叱り方、ほめ方についても触れている。
新人のときに、上司に「ハズレくじ」と言われた前川氏が目指すのは「活躍したい人が当たり前に活躍できる組織や社会をつくること」。確かに、頑張りたい女性はたくさんいる。そんな女性たちのために、一人でも多くの男性上司に、この本を手に取ってもらえることを願ってやまない。
文=松本敦子