最近笑ってない、よく眠れない…男性にもある更年期障害。女性を“口説く”のも改善の糸口って本当?
公開日:2017/5/8
男性にも更年期障害がみられるそうだ。あまり耳慣れない言葉であるのは、一般的に、更年期障害は「女性特有の症状である」というイメージからだろう。しかし、男性にも当てはまるというのは、タイトルそのものズバリな書籍『うつかな? と思ったら男性更年期を疑いなさい』(堀江重郎/東洋経済新報社)である。
この本が対象とするのは、主に40代~50代の男性が中心。ただ、早ければ30代からその兆候がみられる場合もあるという。では、何が原因で男性が更年期障害に陥ってしまうのだろうか。いくつかの対策も含めて、その内容を紹介していきたい。
◎最近笑っていない……日常のわずかなきっかけが予兆かも?
女性の更年期障害は主に、閉経期に「エストロゲン」と呼ばれる女性ホルモンが低下し、自律神経に影響を及ぼすことから症状が出るとされている。その発症時期はおおむね、生理がなくなる閉経の前後5年以内だという。対して、男性の場合は「テストステロン」と呼ばれる男性ホルモンの低下から引き起こされる場合が多く、症状が出ても気づかず、女性と違い長期化する可能性もあるそうだ。
例えば最近、以下のような自覚症状に悩まされる人はいるだろうか。
「最近笑っていない」
「新聞が読めなくなった」
「よく眠れない」
ほんのわずかな一例ではあるものの、これらの症状がある場合にはテストステロンが低下している可能性があるという。また、本書の31ページにある「AMS調査票」や泌尿器科での採血などにより、より細かな診断を受けることも可能だ。
◎男性更年期の主な要因は“幸福”の鍵を握るテストステロンの低下
ここでもう少し、男性の更年期障害の要因とされるテストステロンについてふれたい。男性ホルモンの代表格とされるこの物質は、本来「骨や筋肉を作り、強さを保つ」「性欲や性機能の源」などのために機能するものだ。ただ、誤解のないようにいえば、男性ホルモンと女性ホルモンは、男女それぞれで分泌量が違うことから、便宜上、この呼び方が使われている。
身体的な影響はもちろん、精神的にも「やる気」「判断力」「決断力」を支えるテストステロンであるが、この物質が体内で低下すると「なにもかもおっくうになる」「やる気がなくなる」といった症状が現れはじめる。また、男性にとっては目に見えて性欲が減退して、しまいには「朝立ち」する元気がなくなるといった現象もあるという。
これらの症状は「LOH症候群」と呼ばれ、うつに似た憂うつさや倦怠感を伴う場合もある。ただ、うつ病とは異なるため、精神安定剤などの抗うつ薬で症状が改善されない場合には「男性ホルモン値」を調べる必要があるそうだ。また、その要因となる物質であるテストステロンは「幸福度」の鍵を握るともいわれる。そのため自分の症状を改善したい場合には、日常的に何らかの形で「評価されて、自信を持つこと」が求められるという。
◎健康だけではなく、男の“魅力”を上げようと努力するのも改善の糸口
現在、医療的には「ホルモン補充療法」などにより、男性の更年期障害に対処する方法もあるという。しかし同時に、本書の著者は日常的に心がけるべき「テストステロンを上げるための10ヶ条」を提唱する。
例えば、夜更かしをしないというのはその一つだ。テストステロンは、丑三つ時にあたる夜中の1時くらいから3時におおむね作られるという。そのために必要なのは何よりも睡眠で、さらに気をつけるべきなのは睡眠の質だ。近ごろは枕元で横になってからの“ながらスマホ”などもついついやってしまいがちだが、LED液晶の光は、交感神経が刺激されることにより眠りが浅くなってしまう可能性もあるため、照明を落としてリラックスするのを心がけたい。
また、意外な提案は「女性と接する」ということ。著者によれば、テストステロンは別称「魅力ホルモン」でもあるという。女性とふれあったり、あわよくばセックスをすることで分泌量が上がるのはもちろんであるが、なにげない会話をするだけでも効果があるそうだ。とはいえ、既婚者にしてみればとっかえひっかえあらゆる女性と交流するというのははばかられるかもしれないが、そんなときは、奥さんにさりげなく「たまには腕を組んで、いっしょに散歩しない?」なんて誘ってみるのもアリだという。
女性の更年期障害と比較して、男性の症状は「ホルモンが徐々に減少していき、区切りがないため分かりづらい」と著者は指摘する。本書で繰り返し主張されていることを読むと、どうやらその背景では“男性としての魅力”をいかに磨き上げるかというそれぞれの「生き方」も関係しているようだ。
古くからの格言で“男を上げる”というものがある。今もし、自信が持てずに“どうせオレなんて……”とふさぎ込んでいる人がいるならば、自分ばかりを追い詰めず、男性更年期に目を向けてみるのも鬱屈とした日々を打破する一つの方法である。
文=カネコシュウヘイ