ホテルで大号泣した高須院長の“チン”事件とは?『毎日かあさん』西原理恵子との赤裸々な日常

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更新日:2017/5/15

『ダーリンは70歳』(西原理恵子/小学館)

 「Yes! 高須クリニック」のCMでお馴染みの美容外科医・高須克弥院長と著者の西原理恵子さん、2人合わせて120歳になるカップルの赤裸々コミックエッセイ『ダーリンは70歳』(小学館)。本書は全編豪華フルカラーで描かれている。いったいどんな内容が描かれているのかというと…。

ダーリンは小学生? ホテルニューオータニ、チン事件

 「もうダメだ。死にたい」ダーリンから送られてきた一通のメール。ホテルの部屋で会う予定だったが、著者は仕事で約束の時間を少し遅れてしまっていた。慌てて駆けつけると、枕に顔を埋めダーリンが号泣していた。

 なぜか? 約束の時間きっかり2時にドアのチャイムがなったので「そうだ、驚かしちゃえ」と局部丸出しで「ばぁ」とドアを開けたのだ。するとそこにはホテルのコンシェルジュ、しかも若い女性が立っていた。「世界的にえらいワシのような人が今頃ホテル中で笑い者に」ひんひん泣くダーリンに、著者は「70にもなって小学生かお前は」と突っ込まずにはいられなかったのだとか。

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任務遂行・迅速を求めるダーリン、ムッとする著者

 「山のてっぺんでデートしよう」と忙しい時間をさいて北陸新幹線に乗り長野へ向かった2人。翌朝6時に起きてヘリに乗り、白馬岳山頂で日の出を見る。山頂にはかつて診療所があり、学生時代のダーリンはボランティアで夏の間患者さんを診ていたという。「なつかしい?」と著者が尋ねると、きゅっと手を握りなぜか「帰ろう」と言う。

 プロペラ音がうるさい帰りのヘリの中で、当時の思い出をしみじみ話すのに「それは山頂で話す話題じゃないのか」と叫ぶと、「今回は山頂に行くのが目的。なぜ山頂でダラダラするような愚かな行為をせねばならん」と著者は一刀両断される。

 せっかく長野に来たのに、蕎麦も食べずに一番早い新幹線に乗車し東京駅に着くと、一度も振り向かずダーリンは自分の職場である名古屋へ帰っていった。ひとり寂しく帰宅する著者の、女心ダーリン知らずといったところだ。

多忙な2人は睡眠時間もデートに含む

 現役の美容外科医として多忙な毎日を過ごしているダーリンと、同じく忙しい漫画家である著者、2人が会えない中見つけたデートの仕方がある。

オペを終えたダーリンがぐっすり眠るホテルのベッドに、夜12時に漫画を描き終えた著者が入って一緒に寝る。朝7時まできっちり寝れば7時間は一緒にいられたことになる。起きて一緒に朝ごはんを食べれば、立派なデートだと著者はいう。

ダーリンはペアルックがお好き

 世界に展開するクリニックの院長であるダーリンと著者は、相撲デートも一味違う。世界中に放映されてしまう通称「相撲見るよりオレを見ろ」席がダーリンは大好きだ。加えて「こないだ赤いパーカー2着もらったよね」あれ着て一緒に大相撲見ようよ、と言い出す70歳。見つからなくて秘書に電話をかけると「絶対にそんなモノ着ないでくださいっ」と怒られるのにもめげず、何が何でもお揃いにする。ヤダと言えない著者。ダーリンが赤いパーカーを手に入れると、大相撲全国生中継にペアルックの70歳と50歳が映し出されたという。

もし19歳に戻れても、僕は君を助けない

 昔から男の接待として「飲ませて食わせて抱かせる」というのがあるが、ダーリンは酒を一滴も飲めない。食事はなんにでもお茶をかけて丸飲みしてしまうほどの味音痴であるし、キャバレーでの女体盛りに誘われると「これ以上裸でシーツの上に寝てる女を見せんでくれ」と本気泣きする始末だったという。

 接待の一環で、よろしければと紹介される女性たちのなかに、まさかの著者の生き写しのような女の子(19)がいた。著者は呟く。「あの19歳の私そっくりの女の子ってさ、私なんじゃない?」ダーリンがあの子をいろんなところで助けてあげてくれれば、19歳以降にわが身にふりかかる苦労をしなくて済むのでは、と。

 しかし、ダーリンは「助けない」という。お父さんの首吊り、ギャンブルにはまる、前夫のアルコール中毒…たくさんの困難に著者が泣いていても助けないのだという。なぜなら「その全部があって今のあなたがここにいるから」と答えるダーリン。「キズはそれが値打ちだ」と2人は並んで歩くのだった。

 高須院長も言っているが、普通の人ならまずこんな赤裸々本、出版拒否でもおかしくない。テレビなら禁止用語にピーが連発されそうだ。ネタだらけ「漫画のような日常」でバカップルぶりを見せつける2人に、ゲラゲラ笑えて、少し泣ける。いくつになっても人を愛していたいなぁと思う、そんな一冊だ。

文=トトノ うさき