『ありのままのアンデルセン: ヨーロッパ独り旅を追う』
マイケル・ブース／著
寺西のぶ子／訳（2,300円税別）

　『人魚姫』『即興詩人』などで知られるアンデルセンは、多くの旅をした。本書は、デンマーク語原文のアンデルセン作品に接し、英訳本では知りえなかった深い魅力に心をとらえられた著者が、各国に作家の足跡をたどった一冊。彼は些細な体の不調やパスポートの有効性を強迫的に気に病む一方、19世紀半ばの危険に満ちた欧州を平気で移動し１日50キロも歩いた。創作以外に朗読や切り紙細工、絵にも才能を発揮。幼少期は靴職人の父に〈本来の自分のままでいる〉自由を与えられた。

　今回は純粋で不器用な作家の魂を、ユーモア溢れる筆致で描いたオーラ本と出合った。