村上春樹さん13年ぶりのトークイベント たっぷり2時間レポートします!

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/12

 「こんばんは、村上春樹です」

作家・村上春樹さんが姿を現したのは、4月27日(木)新宿サザンシアターにて開催された13年ぶりとなるトークイベント「本当の翻訳の話をしよう」。70余点の訳書をまとめた『村上春樹 翻訳(ほとんど)全仕事』(中央公論新社)の刊行を記念した当イベントは、460人ほどの定員に対し、応募倍率15倍という盛況ぶり。

イベントでは、翻訳家・村上春樹として、翻訳のしかたやコツが丁寧に語られた。「小説は好きなようにやるけど翻訳のときは自分のエゴをできるだけ殺して制約の中で謙虚にやりたい。それは小説にとてもよい影響を与えているし精神の血行がよくなっている」と話し、翻訳と小説という相反する作業を交互に、「35年間心地よいリズムでやってきた」という村上さん。人生の節目に繰り返し読んだ作品はスコット・フィッツジェラルドの『グレート・ギャツビー』。高校生の時に“こんなに素晴らしい文章があるのか”と感銘を受けたのは、トルーマン・カポーティーの「無頭の鷹」などなど、村上さんの翻訳世界が広がるイベントは、時に笑いを誘い拍手がおこり、温かい雰囲気の中進んだ。

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また、村上さんの翻訳作品から『ティファニーで朝食を』や『ロング・グッドバイ』『騎士団長殺し』を自ら朗読。スペシャルゲストに芥川賞作家・川上未映子さんをむかえ、彼女が朗読する場面もあった。

さらに、本のなかでも対談している翻訳家・柴田元幸さんとの「翻訳講座」では、2人の訳文を比較しあい、同じ原文なのに訳文の違いからそれぞれの“翻訳スタイル”が見えてくる興味深い内容だった。

今回のイベントがはじまるまで会場に流れていた音楽は、村上さんがランニングをするときに使用するiPodをシャッフルしたものだそう(村上さんは5台のipodを使い分けている)。ハルキストにはたまらない、粋なはからいもありつつ、淡いピンクのパンツスタイルはやけに印象的だった。

ダ・ヴィンチニュースだけのWEBメディア単独取材が叶った今回のイベント。2時間たっぷり行われた「本当の翻訳の話をしよう」のレポートロングバージョンは近日公開予定です。乞うご期待!