日本で最も多い駅名は? 京福電鉄嵐山本線の「西院駅」は何と読む? 関西の駅名うんちく!

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公開日:2017/5/5

『思わず人に話したくなる 関西「駅名」の謎』(川口素生/洋泉社)

 全国には様々な難読駅名が存在する。なかでも関西地方は難読駅名の宝庫だ。たとえば大阪府と京都府をつなぐ阪急京都本線。その路線には西院駅がある。これは「さいいん」と読む。「なんだ簡単じゃないか」と思う方もいるだろう。では、京福電鉄嵐山本線の西院駅は何と読むかご存じだろうか。なんと「さい」と読むのだ。両者の駅は近接しているのに、なぜ読み方が違うのか。伝えられているところによると、「西院」の読み方はもともと「さい」だった。そのため現在の京福電鉄にあたる、嵐山電車軌道は駅の読み方を「さい」とした。一方、当時大阪府と京都府をつないでいた新京阪鉄道は西院駅を開業する際、漢字の表記を重視して「さいいん」としたことから、両者の読み方に食い違いができたという。

 このうんちくを紹介しているのは『思わず人に話したくなる 関西「駅名」の謎』(川口素生/洋泉社)という本だ。関西の駅名にちなんだうんちくをたっぷりと紹介している。この春から関西に引っ越した方、GWで訪れる方は、ぜひ手にとってほしい一冊だ。本書より、もう少し掘り下げて紹介しよう。

 日本で最も多い同一の表記、読みの駅は果たして何駅だろうか。なんと「市役所前駅」だそうだ。千葉都市モノレール1号線市役所前駅、紀州鉄道市役所前駅などなど、全国で9つあるという。また、京都市市営地下鉄東西線京都市役所前駅、水間鉄道水間線貝塚市役所前駅のように、自治体名を冠した市役所前駅も全国で8つあるそうだ。

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 冒頭でも触れたように、関西には難読駅名があまたある。奈良県を走るJR桜井線(万葉まほろば線とも呼ばれている)は、関西屈指の難読駅名を抱えている。京終駅(きょうばてえき)、帯解駅(おびとけえき)、櫟本駅(いちのもとえき)、長柄駅(ながらえき)、畝傍駅(うねびえき)などなど、めまいのする駅名がいくつもある。ちなみに京終という地名の由来は、奈良時代の平城京の南端に位置し、「このあたりで京が終てる(はてる)」という意味合いから、京終と呼ばれるようになったそうだ。また櫟本という地名は、このあたりに天狗の住むイチイの大木があったという伝説が由来になったという。

 この他にも本書には、「JR関西本線の久宝寺駅に停車している、「放出」と行先表示された電車には乗ってもいいのか?」「JRが大阪駅で、私鉄や地下鉄が梅田駅なのはなぜか?」などなど、関西の駅名の興味深い疑問を解決する内容が盛りだくさんだ。

 最後に、関西出身の私の恥ずかしい懺悔を書かせて頂く。JR片町線(学研都市線)には祝園駅がある。「ほうその」と読む難読駅名だ。私はこの駅をずっと「しゅくぞの」だと思っていた。この読み方は本書を読んで初めて知った。読者のみなさんも難読駅名には気を付けてほしい。祝園駅に一度も降りたことがなくて、本当に良かった。

文=いのうえゆきひろ